2016年1月15日(金)
定数削減「根拠」示せず
衆院選挙制度調査会が答申
衆院議長の諮問機関「衆議院選挙制度に関する調査会」(座長=佐々木毅・東京大学元総長)は14日、現行475の衆院定数を10削減(小選挙区6、比例代表4)するなどとした答申を大島理森衆院議長に提出しました。
答申は、「現行の小選挙区比例代表並立制を維持する」との前提にたって、定数465への削減(小選挙区289、比例176)を提起しました。
ところが、答申は「削減は多くの政党の選挙公約」と指摘しながらも、現行の定数は「国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い」と述べざるを得ませんでした。定数465は、1925年の男子普通選挙以降、最も少ないとしています。
小選挙区間における1票の格差の是正をめぐって、「喫緊の最重要課題である」とした上で「2倍未満とする」と明記。10年ごとの大規模国勢調査の人口にもとづいた議席配分の見直しに加え、大規模調査の中間年に行われる簡易国勢調査をふまえ、「(格差が)2倍未満となるように関係選挙区の区画の見直しを行う」としました。
答申後、大島議長は記者会見で「この国会において結論が得られるよう最大限努力したい」と表明。19日に各党へ答申内容の説明を行い、1カ月後をめどに各党から結論や方向性を聴取したいと述べました。
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穀田国対委員長が反対表明
日本共産党の穀田恵二国対委員長は14日、衆議院選挙制度に関する調査会が同日大島理森衆院議長に対して行った答申について記者会見し、「受け入れられない。反対だ」と表明しました。
穀田氏は、答申の内容は「定数削減先にありきということが最大の問題だ。定数削減は民意の切り捨てであり、国会の監視機能を弱めるものだ」と指摘。答申自体が「現行の衆議院議員の定数は、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い」と認めており、「理由も根拠もなく提案するなどもってのほかだ」と批判しました。
穀田氏は、「国民がいま求めているのは、民意と国会の乖離(かいり)を問題にしているのであって、正すべきは民意をゆがめる小選挙区制だ」と強調。小選挙区制を廃止し、比例代表制度を中心とする選挙制度に変えるべきだと主張しました。
さらに穀田氏は、「答申の特徴は国民の声を聞いていないということだ」と指摘。主権者の国民から幅広く意見を聞く公聴会も開かないなど、国民の声を反映したものになっていないと重ねて批判しました。
穀田氏は、「今年は、18歳選挙権が新たに実行される。国民の代表の選び方について国民的議論をすべきだ。国民の民意をいかに鏡のように議席に反映させるかが重要だ」と強調しました。