2016年1月11日(月)
個人番号カード交付開始
企業カードと一体化狙う
被害拡大は必至 国民監視の危険
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1月から運用が始まった「マイナンバー(共通番号)制度」で、希望者に対して「個人番号カード」の交付が始まりました。安倍内閣は、多くの国民に所持させるために、買い物などのたびにポイントがたまるカードなどと一体化する検討を始めるなど、個人カードの普及に躍起となっています。
個人カード取得は任意で、顔写真と氏名、住所、性別、生年月日と個人番号が記されています。しかし、個人カードがなくても、配布された「通知カード」で行政手続きもできるため困ることはありません。身分証明書としても使えますが、他人に番号を知られないようにしなければなりません。
顔写真悪用
しかも、カード交付の際、「顔認証」を使って本人確認を行うことになっており、人権侵害を引き起こすことが指摘されています。また、集められた顔写真が、警察などに利用される危険性も抱えています。
政府はカードを3000万枚発行できる予算を計上していますが、6日時点で申請は約320万枚。約1億3千万人の国民のうち約2・5%にとどまっています。
そのため政府は、民間サービスでの活用をはかる考えです。高市早苗総務相は4日、「各企業のポイントカードやクレジットカードなどと連携できるマイキープラットホームを構築したい」と述べ、各種カードと一本化する考えを表明しました。
情報が集約
しかし、1枚のカードに個人情報が集約されるほど、ひとたび情報が漏えいすれば、甚大な被害を引き起こすことは必至です。しかも、紙製のポイントカードもあるなかでカード情報をどうやって集約するのか、各種カード情報の読み取り機械の普及や不正利用対策など課題は山積しています。
政府が普及に躍起となるのは、一人でも多くの国民が番号カードを持てば国民の個人情報を簡単に把握でき、税や社会保険料などの負担強化や給付抑制に使えるからです。マイナンバーが国民のためではなく、政府が国民を管理するための制度であることが浮き彫りとなっています。