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2016年1月10日(日)

在日米軍活動経費・思いやり予算

無法重ねた世紀の愚策

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写真

(写真)日本の「思いやり予算」によって建設された池子米軍住宅=神奈川県逗子市内

 屋上屋を重ねた違法建築状態―。国民の税金を原資とした在日米軍活動経費の内訳を見ると、そう思わずにいられません。

 在日米軍の活動経費について、日米安保条約に基づく地位協定24条は、「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と明記。例外として(1)施設・区域(基地や演習場など)を合衆国に負担をかけないで提供する(2)土地の所有者に補償を行う―としています。これを素直に読めば、日本側の負担は土地の賃料や地主への補償などに限られます。

 ところが1970年代、ベトナム戦争の泥沼化などで米国の財政が悪化し、同盟国への「責任分担」要求が強まります。日本政府はこれを真に受け、地位協定の解釈を拡大。米側への「思いやりの心」(金丸信防衛庁長官)と称して78年度に基地従業員の福利厚生費62億円を負担。翌年度には基地建設費の負担を開始しました。

 80年代に入り、米側の要求に沿って「思いやり予算」は拡大の一途をたどります。もはや地位協定の解釈拡大では追いつかず、87年度、労務費のうち時間外手当など8手当の支払いを定めた特別協定を締結。費目はさらに、労務費の基本給、基地や米軍住宅の水光熱費、米軍の訓練移転費と拡大。特別協定は2015年度まで6回、改定を重ねてきました。

表

 15年度の米軍「思いやり予算」1899億円のうち、約74・6%にあたる1416億円が特別協定を根拠にしています。(グラフ)

 日米両政府はこの特別協定を来年度から5年間、延長することで大筋合意。昨年12月の合意内容によれば、現行協定(11〜15年度)より130億円多い9465億円となる見通しです。

 日本への財政負担要求が強まった70年代はじめ、米国防総省内では、財政難から在日米軍基地の大半の撤退を検討していました。「思いやり予算」など、日本側の財政負担がなければ、米国は日本全土にこれだけの基地を維持することはできませんでした。

 日本政府が丸ごと費用を負担してつくる辺野古の新基地建設に至っては、日本を半永久的に「米軍基地国家」におとしめる愚策です。(竹下岳)


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