2016年1月9日(土)
大学改革を問う
日本学術会議がフォーラム
日本学術会議は7日、「少子化・国際化の中の大学改革」をテーマにした緊急フォーラムを東京都内で開き、約200人が参加しました。大学やメディア、産業界の関係者が意見を交わしました。
国立大学協会会長の里見進東北大学総長は、運営費交付金の減額が続けば大学の人件費すらまかなえなくなると指摘。すでに若手の常勤教員が減少し、大学全体の研究力も落ちていると警鐘を鳴らしました。
日本私立大学団体連合会会長の清家篤慶応義塾長は、「即戦力」を求める産業界の要請について「それだけでは大学は教育機関ではなくなる。精神的な豊かさを追い求めることが重要」と述べ、リベラルアーツ(教養教育)を強調しました。
柳澤秀夫NHK解説主幹は、「大学は就職予備校ではない。多様性のある人間を育ててほしい」と述べるとともに、国防総省の資金でロボット研究をしているアメリカの大学を取材して、「これでいいのかと懸念した」と語りました。
パネルディスカッションでは、運営費交付金を削り各大学で競わせて配分する競争的資金の比重を高めるという経団連からの提案に対し、里見氏は「大学本来の姿が変わる」と批判。日本私立大学団体連合会副会長の黒田壽二金沢工業大学学園長・総長は、私学の経常費に対し1割まで下がった私学助成がこれ以上削られたら地方の私立大学はつぶれると語りました。