2016年1月8日(金)
参院本会議 井上参院国対委員長質問
民意ふみにじる暴走ただす
日本共産党の井上哲士参院国対委員長は7日の参院本会議で、戦争法強行、アベノミクス、労働法制改悪、環太平洋連携協定(TPP)など、あらゆる分野で民意を踏みにじる安倍暴走政治をただし、立憲主義回復を求める広範な人びととともに政治の歴史的転換に力を尽くす決意を表明しました。
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武器・原発輸出
「軍事による平和」直ちに中止求める
井上氏は、安倍晋三首相が昨年秋以降に行った外遊を「世界の平和と繁栄のため」と自賛したことに対し、「新・日米ガイドライン(軍事協力の指針)と戦争法の具体化と一体の、もっぱら『軍事による平和』だ」と指摘し、海外への武器・原発輸出方針をただちに中止するよう迫りました。
井上氏は、米軍が南シナ海で行う「航行の自由」作戦に首相が昨年11月に支持を表明したことをあげ、自衛隊も米軍と共に警戒監視活動へ参加する可能性があるかとただしました。
首相は、「さまざまな選択肢を念頭におく」として、将来自衛隊を派遣する可能性を否定しませんでした。
また井上氏は、オーストラリアの次期潜水艦の共同開発の計画提案など安倍政権が海外で日本製武器の売り込みを推し進める姿勢を指摘し、憲法9条下では許されない武器輸出について追及。経団連が「産業界の考えを反映させる」として、戦争法成立のもとで武器輸出を「国家戦略として推進すべき」と強調したことも挙げ、「憲法9条をもつ日本の国家戦略の基本は平和外交であり、紛争を助長する武器輸出とは反する」と迫りました。
首相は「(武器の)海外移転が許されるのは平和貢献、国際協力の積極的な推進またはわが国の安全保障から積極的意義がある場合に限定」と、武器と平和が結びつくかのような発言を行い、野党側から疑問の声が飛び交いました。
首相がインドとの間で原則合意した日印原子力協定締結が問題になっています。井上氏は「福島第1原発の事故の原因究明も収束もできない日本が原発を輸出することは、『世界の繁栄への貢献』どころか新たな安全神話の輸出に他ならない」と批判。同協定の中止を求めました。
しかし首相は「インドの核保有を認めるとの指摘は全く当たらない」などと、根拠のない答弁を連発しました。さらに「福島の教訓を国際社会と共有し、安全神話に陥ることなく、世界でも最も厳しいレベルの安全性を追求する」として、被災者の思いを置き去りにあくまでも原発体制に固執する安倍政権の姿勢をさらけだしました。
消費税増税・雇用改悪
貧困と格差拡大暮らし応援で是正
日本経済はマイナス成長なのに企業収益は増益という初めての「異常事態」が起きています。増益が内部留保に回るだけで、企業収益が家計に回る回路が断たれてきたからです。
井上氏は「今必要なことは、貧困と格差拡大をもたらしたアベノミクスを『1億総活躍』と目先を変えて続けるのではなく、国民の所得を増やし、暮らしを応援することに抜本的転換をすることだ」として、消費税10%への増税をきっぱり中止するよう要求しました。
安倍首相は、社会保障を切り捨て続けているにもかかわらず「(消費税増税による)増収分は全額、社会保障の充実・安定化にあてることとしており、所得の再分配に資するものだ」などと強弁。来年4月には10%への消費税増税を「確実に実施する」と明言しました。
さらに井上氏は「賃下げと低賃金労働、不安定雇用を増やす労働法制の改悪はやめ、非正規から正社員への流れをつくる雇用のルール確立に転換すべきだ」と迫りました。
首相は「長時間労働を是正するとともに多様で柔軟な働きかたを推進するものだ。批判はまったくあたらない」と偽りの答弁に終始しました。
井上氏は、経団連が原発再稼働や労働規制の緩和などを求め、会員企業に「社会貢献」として献金実施を呼びかけていることを告発。「まさに政策を金で買うものだ。これが企業の社会貢献か」と追及しました。
首相が「許してはならないのは、お金で政策をねじ曲げようとする行為だ」「企業・団体が政党等に献金すること自体が不適切なものとは考えていない」と居直ると、議場では「曲がりっぱなしだ」という声が飛びました。
井上氏は「大企業が今果たすべき社会的責任は、内部留保の一部を使った賃上げや正社員化、まともな下請け単価への是正だ。自民党への政治献金は断り、大企業の社会的責任こそ果たせと求めるべきだ」と求めました。
TPP
「今すぐ撤退」迫る
井上氏は、TPPの本質を“日本の農業と食の安全、経済主権を売り渡し、国民生活全体に深刻な影響をもたらす”と明らかにし、「TPPは今からでも撤退すべきだ」と首相に強く迫りました。
昨年10月のTPP「大筋合意」は、政府が大幅譲歩し国会決議をほごにした内容であるのに、その日本語全文は公表されていません。井上氏が「日本語全文を国会に直ちに示せ」と求めたのに対し、首相は「可能な限り早期に示したい」と答えました。
井上氏は、政府が昨年12月に発表したTPPの影響試算をとりあげ、国内総生産の伸びを2年前の試算の3・2兆円から14兆円へと膨張させた一方、農林水産物生産額の減少は3兆円から1300億〜2100億円へ大幅緩和したと指摘。「影響を小さく見せ、国内対策を急いで国民の批判をそらし、参議院選挙をのりきろうというやり方は許されない」とただしました。首相は「批判だけしている」と開き直りました。