「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年1月7日(木)

総理海外出張報告・財政演説に対する

穀田国対委員長の代表質問

衆院本会議

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 日本共産党の穀田恵二国対委員長が6日の衆院本会議で行った、総理海外出張報告・財政演説に対する代表質問は次のとおりです。


 質問に先立ち冒頭一言します。本日、北朝鮮は「水爆実験を実施した」と発表しました。北朝鮮による核実験の強行は、地域の平和と安定に対する極めて重大な逆行であり、一連の国連安保理決議、2005年9月の6カ国協議共同声明、日朝平壌宣言に明確に違反する暴挙であり、日本共産党は、厳しく糾弾するものであります。

 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。

戦争法を廃止し「閣議決定」を撤回せよ
軍事強化ではテロと戦争の悪循環に

 今年は日本国憲法公布70年という節目の年です。憲法は「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と高らかにうたっているのであります。

 ところが、安倍自公政権は、昨年の通常国会で、この憲法の精神をじゅうりんし、歴代政府の憲法解釈を百八十度転換して、集団的自衛権の行使を可能とする安保法制すなわち戦争法の強行成立という、暴挙を行いました。憲法違反、立憲主義、民主主義否定の暴挙であり、断じて許すことはできません。

 この暴挙に対して、国民的運動は空前の広がりを見せました。強行成立の後も世論調査では、戦争法反対が国民の多数です。「主権者の一人として、暴挙を決して忘れない」「アベ政治を許さない」と、戦争法の廃止、立憲主義の回復を求める運動として一層の広がりを見せています。総理、この声が聞こえているのですか。

 私たちは、戦争法の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を断固として求めるものです。答弁を求めます。

 総理は、強行成立後、「今後も誠実に粘り強く説明を行っていく」と述べました。ところが、野党が憲法53条に基づいて求めた臨時国会召集さえ無視して、戦争法の具体化・実行にひた走っています。

 11月には、新たな日米間の「同盟調整メカニズム」と「共同計画策定メカニズム」の設置に合意しました。

 これらの仕組みを通じて、平時から緊急事態まで、切れ目なく、地球規模で軍事協力をおしすすめ、そのための共同計画を策定・更新するとしています。これは、アメリカが世界の紛争に軍事介入したときに、いつでも、どこでも、どんな戦争でも、日本が参戦するための体制づくりそのものではありませんか。

 戦後初めて5兆円を超す軍事費の増大も見逃すわけにはいきません。財政の面から戦争法を支えるものに他ならないではありませんか。これをどう説明するのですか、お答えください。

 パリで同時テロ事件が発生し、アメリカをはじめとする「有志連合」は、過激派組織ISに対する空爆をはじめとした軍事作戦を強化しようとしていますが、軍事作戦の強化では問題は解決しません。逆に憎しみの連鎖を生み、テロと戦争の悪循環をつくりだすことになります。自衛隊を派遣することは絶対にやってはなりません。

 問題は、「世界からどうやってテロをなくすのか」ということです。私たちは、(1)国連安保理決議にもとづき、テロ組織への資金提供の遮断、テロリストの国際的移動の阻止、テロリストの武器入手の防止など、テロ組織を直接抑える(2)貧困や政治的・宗教的差別など、テロの土壌となっている問題をなくしていく努力を行う(3)シリアとイラクでの内戦、混乱を解決し、平和と安定をはかるための政治的・外交的努力をはかる(4)難民として苦しんでいる人々の人権を守り抜くための国際的な支援を抜本的に強める。以上の4点を提案するものです。総理の見解を求めます。

「世界一危険な」沖縄・米軍普天間基地
移設条件を付けず閉鎖・撤去を直ちに

 次に、沖縄の米軍基地問題です。

 沖縄県の翁長知事は昨年10月、名護市辺野古への米軍新基地建設に関わる埋め立て承認を取り消しました。これに対し、政府は、私人の権利救済を目的とした行政不服審査制度を悪用して工事を再開し、承認の取り消しそのものを消し去ろうと翁長知事を裁判に訴え、さらに、露骨な地域振興策で住民を分断しようとしています。

 沖縄は、第2次世界大戦の末期、「本土決戦」「国体護持」のための捨て石にされ、県民の4人に1人が犠牲になった苛烈な地上戦が繰り広げられました。戦後も、サンフランシスコ講和条約第3条によって本土から分断され、その後も、米軍の統治下に置かれ続けました。その下で、国際法にも違反し、住民の土地が強権的に奪われ、広大な米軍基地は構築されたのであります。この歴史を総理はどう認識しているのですか。

 普天間基地について政府は、「一日も早い危険性の除去」を強調しますが、そもそも1996年に返還を合意しながら、移設条件をつけ、「世界一危険な基地」を放置してきたのは誰か。深夜早朝の米軍機の飛行を野放しにし、米軍のオスプレイ配備計画をひた隠しにしてきた事実を忘れたのですか。住民の安全よりも米軍の運用を優先してきた政府の姿勢こそ改めるべきであり、いまこそ移設条件つきをやめ、普天間基地をただちに閉鎖・撤去することを強く要求するものです。

大企業は優遇し国民には消費税大増税
安倍政権の経済政策の誤りは明らか

 次に、経済と暮らしの問題です。

 安倍政権の3年間がすすめてきたのは「世界で一番、企業が活動しやすい国」をつくることを標榜(ひょうぼう)し、「大企業がもうければ国民も潤う」という経済政策でした。このもとで、経済と国民生活の状態はどうでしょうか。

 大企業の経常利益は6割以上も増加、史上最高の大もうけで内部留保も300兆円を突破しています。

 他方、国民の所得と消費は、実質でみれば3年前を下回ったままで回復していません。

 生活保護の受給者数は過去最高となり、いわゆる「ワーキングプア」は1100万人を超えるなど、アベノミクスが深刻な格差拡大と貧困をもたらしているのであります。いまや安倍総理の経済政策の誤りは明瞭ではありませんか。答弁を求めます。

 そもそも経済とは、経世済民、すなわち世を治め、国民の苦しみを救うことです。公正な分配、富の再配分をすることが求められているのです。

 にもかかわらず安倍政権は、経団連の意向を受け、税制改正大綱に「『稼ぐ力』のある企業等の税負担を軽減する」と明記し、大企業に対する優遇税制をさらに拡大しようとしており、17年度以降に法人税率を20%台にしようとしていることは重大です。

 しかも、この減税の財源を、法人の「課税ベースの拡大」、外形標準課税の拡大により確保するとしています。これまで法人税を負担していない赤字企業や中堅企業への課税を強化しようというのであります。赤字企業などに増税を行い、それを財源として、もうけすぎで内部留保をため込んでいる大企業に減税するなどとんでもない税制です。「稼ぐ企業」にこそ応分の負担を求めるべきではありませんか。答弁を求めます。

 一方で国民には、17年4月の消費税10%への大増税を押しつけようとしています。

 「軽減税率」と称していますが、何が軽減ですか。食料品や新聞などの税率を8%に据え置くだけにすぎません。新たに4・5兆円を超える国民負担を押しつける口実であり、1世帯あたり、今より4万円以上の大増税になるのは明瞭ではありませんか。

 消費税率を10%に引き上げることは、「低所得者ほど負担割合が高い消費税の逆進性」がますます進むことになります。これは政府も認めてきたことではありませんか。低所得者対策をいうならば、消費税増税を中止し、消費税頼みの道から転換すべきです。

 そのうえ、この間の社会保障改悪に続けて、来年度は、年金の給付引き下げ、入院給食費の負担増、福祉給付金の半減や診療報酬の減額などの改悪をしようとしています。

 総務省や厚労省の調査でも、全ての年齢層で社会保険料の負担が増え、所得が少ない人ほど、負担割合は増加しています。社会保険料と消費税が、二重・三重に国民の家計に負担を押しつけ、苦しめています。憲法が保障する生存権を侵害するという状態といわなければなりません。総理の見解を求めます。

被災者支援金を住宅再建できる水準に
原発事故の究明もせず再稼働するな

 東日本大震災、福島原発事故による被災者の問題です。

 あと2カ月で、東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から5年がたちます。5年がたとうとする今でも、18万人を超える被災者が避難生活を強いられています。災害関連死は3338人にも達しています。政府が、復興計画による大型事業を推し進める一方、医療費や介護保険料の負担減免など被災者に対する支援を、早々と地元に押しつけてきたことが、こうした深刻な事態を引き起こしているのではありませんか。被災者の基本的人権がないがしろにされている現状をどう認識しているのでしょうか。

 被災自治体に「自立」を促すとして地元負担を押しつけることは、一日も早い復興に努力している被災者や被災自治体に水を差すことになりかねないではありませんか。

 商店が成り立つためにも、人手不足の水産加工業など生業(なりわい)と地場産業を復興するうえでも、住まいの再建は待ったなしの状況にあります。そのためには、被災者生活再建支援金を、最低でも500万円、住宅が再建できる水準に引き上げることが不可欠ではありませんか。

 福島原発事故について、事故による被害が続いているにもかかわらず、一方的に避難指示を解除し、帰還するかどうかの選択を迫り、東京電力が損害賠償を打ち切るなどは言語道断です。ただちに改めるべきです。

 東電福島原発事故そのものの原因究明はいまだ不十分です。収束どころか増え続ける汚染水問題解決のめどさえたっていません。原発事故が発生した際の住民の避難対策や生活再建を補償する対策もあいまいなまま、川内原発をはじめ既存の原発を再稼働させるなどは決して行うべきではありません。

立憲主義踏みにじる安倍政権の暴走
日本政治の歴史的転換へ全力を尽くす

 最後に、民主主義と政治の在り方についてです。

 憲法の前文は「日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と始まります。

 一昨年の総選挙で、自民党は、全有権者の17%にすぎない支持で290もの議席を獲得しました。小選挙区制による虚構の「多数議席」の力で、憲法違反の戦争法の成立まで強行したのです。「これが正当な代表といえるのか」「主権者の声をきけ」これが国民の声です。国民は、国会の議席と民意の乖離(かいり)を根本から改めることを求めています。

 70年前の女性参政権以来、選挙権年齢が18歳からに拡大する今年、国民の代表の選び方について国民的議論をすべきです。

 選挙制度の基本原則は、国民の多様な民意を、鏡に映すよう正確に、国会の議席へ反映するものでなければなりません。これに逆行する現行小選挙区制は廃止すべきです。同時に、金の力で政治をゆがめる企業・団体献金の全面禁止、憲法違反の政党助成金の廃止を求めるものであります。

 総理、立憲主義とは何でしょうか。たとえ国会で多数を持つ政権党でも、憲法の枠組みに反する政治をしてはならないということではありませんか。

 「立憲主義、民主主義、平和主義の擁護と再生は、誰もが自由で尊厳ある暮らしをおくるための前提となるもの」、これは多くの市民の共通の思いです。立憲主義を踏みにじり、暴走に暴走を重ねる安倍政権が、「憲法改正」を口にするなど断じて許されません。

 日本共産党は、憲法の精神が息づく日本政治の歴史的転換の年とするため、全力をつくす決意を表明して質問を終わります。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって