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2016年1月5日(火)

マスメディア時評

日本の危機 立ち位置が問われる

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 憲法に真っ向から反する戦争法を強行し、改憲への意欲を示す安倍晋三政権と、それにたいする国民の新たな運動が広がるなかでの年明けです。戦後70年の昨年、マスメディアでも戦争法を中心に憲法、戦争と平和、民主主義など活発な議論が交わされました。安倍政権のもとで立憲主義・民主主義が破壊され政治の危機が深刻化するなか、日本の針路についてどんな議論が展開するのか注目されます。

民主主義を問う地方紙

 激動の年明け早々の各紙社説を読むと、とくに少なくない地方紙が「憲法」「民主主義」を中心に論じているのが目を引きます。「中日」(「東京」)1日付は「戦争やテロを減らすには武力よりも、むしろ教育の普及や格差の是正が有用だという世界認識が広まりつつあり」として、「国際紛争を武力で解決しないという憲法九条の規定」は「時代を経るほどに現実味を帯びてきている」と改めて強調しています。

 今年11月3日は日本国憲法公布から70年です。中国新聞(1日付)は公布からの節目にあたって、「日本政治は今、その70年の積み重ねを危うくしかねない現実に満ちてはいないか」と警鐘を鳴らし、「安保法の議論を経て、私たち主権者は『立憲主義』の意味を再認識した。憲法は人権を保障し国家権力の手を縛るものである」「70年前の息吹に思いをはせ、民主主義と民主政治を鍛え直すことが必要」と指摘しました。

 北海道新聞1日付も、安倍政権の戦争法強行を「民主主義のまっとうな姿とは言えまい」と批判した上で「今年夏には参院選がある。世論を顧みぬ権力の振る舞いを正し、進むべき方向を探る。主権者である私たちの責任である」と提起します。憲法をないがしろにする政治に、主権者・国民が歯止めをかける、民主主義の重要性を浮き彫りにしています。

国民に針路示してこそ

 全国紙では、「毎日」1日付が、「国家主導型の社会」は「独善」に陥ることを警告し、「民主主義を鍛え直すには、国民が決定の主役となる」ことであり、「自律した個人の多様な声が反映される社会」を選び取ることだと強調します。

 一方、「朝日」1日付は「社会の分断は民主主義にとって脅威」「分断という病理を直視し、そこにつけ込まない政治や言論を強く」と述べ「連帯の再生」などを力説しますが、「再生」の具体的な道筋は伝わってきません。立憲主義・民主主義を壊し日本政治を危機にさらしている安倍政権のもとで、どのように民主主義を強め、前に進めていくのか、その針路などを積極的に提示していくのがマスメディアの役割ではないでしょうか。全国紙の現状認識が改めて問われる事態です。

暴走・改憲あおる2紙

 安倍政権と一体で戦争法を推進した「読売」1日付は「安全保障関連法を適切に運用し、日米同盟の抑止力を高めねばならない」と説いたうえ、「緊急事態条項」を口実にした改憲論を促進することまで求めました。「産経」1日付も1面の論説委員長の論説で「日米同盟をより深化させる」「抑止力強化の枠組みは整った。これにどう魂を吹き込むかの段階」と、民意に背く違憲立法の加速をあおる姿勢が露骨です。

 国家権力の暴走を監視・チェックするどころか、憲法無視の暴走政治にたいする翼賛一色では、言論機関の使命を放棄したに等しいものです。

 戦争法強行により、自衛隊が戦後初めて、海外の戦争で「殺し、殺される」ことが現実の危険として迫っています。憲法にもとづく政治が壊され、日本の平和と民主主義が重大な岐路に立つ転機のなか、今年は、マスメディアの立ち位置がさらに鮮明になる年になることは間違いないでしょう。

(宮澤毅)


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