2015年12月27日(日)
違法パチンコ台 横行
賭博性高める改造295万台ほぼ全部か
警察庁が自主回収要請
ギャンブル性を高めて客をのめりこませる違法改造のパチンコ台が大量に出回っていることが表面化し、警察庁がパチンコ業界に自主回収を要請していることが26日までに、明らかになりました。
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現在のパチンコ機は、「大当たり」を引き当てると大量の玉がでる「デジパチ」が主流です。デジタルの抽選を始動させる入賞口と、少量の当たり玉を出して玉の持ちをよくする一般入賞口があります。
盤面のくぎを
改造台ではケージという盤面のくぎを、一般入賞口にまったく入らない状態で打ち付けていました。この結果、業界用語でいう「吸い込みの良い台」になり、客は多額の金を注ぎ込んで大当たりだけをねらい続ける、きわめて賭博性の高いパチンコ台になっています。
パチンコは、風俗営業適正化法で警察庁の管理下に置かれ、賭博ではなく遊技(娯楽)と位置づけられています。射幸性(賭博性)を抑えるための基準が法令で定められており、すべての機種が国家公安委員会の指定試験機関である「保安通信協会」の検定を受けたうえ、市場に出されています。
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ところが、業界団体が設立した「遊技産業健全化推進機構」が警察庁の要請を受け、今年6月から8月にかけ、全国161店舗の258台を調査したところ、6割で一般入賞口にまったく玉が入らず、検定基準を満たす機種は1台もありませんでした。国内に置かれている295万台のパチンコ台のほぼすべてが、法令違反状態である可能性があります。
この改造は、パチンコ機メーカーが検定のときだけ基準を満たすよう偽装し、その後、検定機と違うくぎ状態に改造していた疑いがあります。
メーカー団体の「日本遊技機工業組合」は11月4日、出荷段階で改造が行われている可能性は「否定できない」と警察庁に回答。これを受け警察庁保安課は同6日、「検定機と性能が異なる可能性のある遊技機の撤去」をパチンコ業界に要請しました。
「警察も承知」
業界では、パチスロ機75万台の改修・点検(1992年)、「社会的不適合機」約70万台の撤去(96年)など、過去にも賭博性の高い機種をめぐる問題が繰り返されています。
あるパチンコ業界関係者は「行政がいまさら、くぎを問題にし始めた真意がわからない。ギャンブル性を高める改造は20年以上も前から、警察も承知のうえですすんできたことだ」と話しています。