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2015年12月24日(木)

主張

スポーツ界2015

問われた社会的正義との関係

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 賄賂にまみれた国際サッカー連盟(FIFA)幹部の醜態、組織ぐるみのロシア陸上競技連盟のドーピング隠ぺい工作、反社会的行為に感覚がマヒした野球賭博事件…。東京五輪も巨額な新国立競技場建設などが大問題になりました。2015年のスポーツは、その存在が社会的正義との関係で問いかけられた1年でした。

東京五輪の混迷も深刻

 FIFAなどのスポーツ団体で相次いだ不正・腐敗事件は、国内外の世論に指弾されています。真相を解明し、事態打開の自浄能力発揮と閉鎖的な組織の体質改革が迫られていることは明らかです。

 ユネスコ(国連教育科学文化機関)は11月、「体育・身体活動・スポーツに関する国際憲章」を採択しました。第5条4項で「大規模なスポーツ競技大会の実現に関与する全関係者は、財務費用、環境的・社会的な影響、大会後のインフラ活用、スポーツ・身体活動への参加効果の面から、開催コミュニティにとっての持続可能なレガシーを保証しなくてはならない」と記しています。関係者は同規定を銘記することが求められます。

 その意味で、20年の東京オリンピック・パラリンピックの開催準備が、新国立競技場整備やエンブレム採用をめぐって混迷し、いまなお本格的な軌道に乗っていないことは深刻です。巨額費用に国民の批判が集まった当初案は白紙撤回されました。安倍晋三政権が22日決定した新デザインの総工費も1500億円弱と試算されましたが、経費の膨張が抑制される保証はありません。

 問題の根源には、選考経過の不透明性が指摘されたように、住民や競技者の声を無視して、「あとは野となれ」と大企業本位の開発投資を先行させる非民主的な運営があります。環境の保全、持続性の保持、自治の尊重というオリンピック開催の原理・原則を準備の全過程に貫いてこそ、国民の期待に応える展望が切り開かれることを自覚してかかる必要があります。

 10月に発足したスポーツ庁が、「スポーツは国民の権利」を理念にすえたスポーツ基本法をどのように具体化・推進するか問われています。国民各層のスポーツ振興に関わる、計画的で実効性のある施策を柱とする機関になるかどうかが最大の試金石です。

 この点で、競技者の活躍と自主的・民主的なスポーツ運動の展開が重要な役割を担うことになります。注目したいのは「スポーツは万人の権利」を掲げ11月に創設50年を迎えた新日本スポーツ連盟です。スポーツ行政とスポーツ環境を充実させる推進力として、実力を存分に発揮していくことが期待されます。

社会進歩に寄与するため

 サッカースタジアムも標的になった11月のパリ同時テロは、スポーツの交流の空間を奪ったものとして衝撃を広げました。テロと戦争の悪循環が続く国際情勢からぬけ出すことはスポーツ界にも焦眉の課題です。少なからぬスポーツ関係者が戦争法廃止をめざす国民的運動と連帯していることは心強い限りです。憲法9条を持つ国で、スポーツを通じ友好と相互理解が促進されることが大切です。

 社会的正義との関係でスポーツが根本的に問われた1年を踏まえ、より人間的で社会進歩と世界平和に寄与する文化としてスポーツが前進することを望みます。


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