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2015年12月22日(火)

国王愛犬の中傷は「不敬罪」

タイ軍政が適用乱発

王位継承問題が影響

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 タイの首都バンコク近郊にある自動車部品工場の労働者、タナコーン・シリパイブーン氏が14日、刑法の「不敬罪」で起訴されました。フェイスブック上で国王の愛犬を中傷した上に、国王の加工写真に「いいね!」をクリックしたことが「罪状」。最高で禁錮37年の刑に処せられる恐れがあります。

 昨年5月のクーデターで権力を握った軍政は、今年に入って弾圧を強めています。タナコーン氏の弁護士は現地メディアに対して「犬に対する不敬などあり得ない。全くナンセンスだ」と語りました。

 軍政による弾圧の法的手段は主に二つ。国王や王妃、王位継承者、摂政の名誉を傷付けたり侮辱したりしたとの理由で処罰できる不敬罪と、「国民の和合と調和を強化するため」との理由さえ付ければ批判者を逮捕できる暫定憲法44条です。

 最近の裁判では、不敬罪で禁錮30年、28年と長期の量刑が目立ちます。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、「2006年にタイの不敬罪の記録を取り始めてから最も重い量刑が相次いでいる」と批判します。

 OHCHRは、不敬罪が軍事裁判所で扱われ、「ほとんどは非公開で、控訴できない例が多い」と指摘。「国際的な人権基準を満たしていない」として、禁錮刑を言い渡されたり、拘束されたりしている人々を全員釈放するよう求めています。

 軍政は不敬罪の適用乱発への批判も不敬罪に当たるとの立場。タイ国家警察は今月9日、米国のデービース駐タイ大使がバンコクでの講演で「不敬罪による長期かつ前例のない禁錮刑を懸念している」と発言したことを理由に、不敬容疑で捜査を始めたことを明らかにしました。

 弾圧強化の背景には、タイ支配層の求心力となってきたプミポン国王の健康悪化と王位継承問題があります。

 バンコクの民間研究所「サイアム・インテリジェンス・ユニット」のカン・イェニョン研究員はロイター通信に対し、「さまざまな陣営や関係者の間で深刻な争いがあるので、(王位)継承は非常に不安定な状態にある」と指摘。「権力闘争のせいで、軍は批判に対して非常に敏感になっており、自分たちこそが権力を掌握していることを誇示したがっている」と語りました。(面川誠)


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