2015年12月19日(土)
子育て・介護、ニーズに遠く
消費増税押し付け給付金
安倍内閣は18日閣議決定した2015年度補正予算案で、「1億総活躍社会」をめざす緊急対策として、子育て支援や介護サービスの整備を盛り込みました。しかし、ニーズに遠く及ばない計画で、サービス確保に不可欠の人材確保の裏付けも乏しい内容です。
子育て支援では、「希望出生率1・8」を目指して、17年度末までに50万人分の保育施設を整備(現在の目標は40万人)するとして511億円を計上しました。
しかし、すでに45万人分は市町村が整備計画を出しており、5万人分を上乗せしただけです。「希望出生率1・8」を達成するためには新たに108万人分の整備が必要です。
人材確保は、保育士の修学資金貸付事業(566億円)などにとどまり、賃金の抜本的引き上げなどは盛り込まれていません。
介護では、2020年初頭までに「介護離職ゼロ」を掲げて、10万人分の在宅・施設サービスの上積みを行うとして921億円を計上しています。このほか、国交省管轄のサービス付き高齢者住宅を2万人分整備するとしています。
しかし、特別養護老人ホームの入所待機者だけで52万人もおり、遠く及びません。
人材確保策も、再就職準備金貸付など261億円にとどまり、他産業より10万円も低い賃金の抜本的引き上げ策はありません。
また、「消費喚起」として、低年金生活者に3万円を配る「臨時福祉給付金」に3390億円を計上します。
前半に配るのは65歳以上で、住民税非課税の約1100万人。16年度当初予算案にも450億円を盛り込み、65歳未満の障害・遺族基礎年金の受給者約150万人に支給する計画です。
消費税10%で8・2万円もの税負担(年収76万円で)が押し付けられ、毎年の年金削減も押し付けられる高齢者にとっては、「支援」とは名ばかりです。