2015年12月18日(金)
自衛隊「邦人輸送」訓練を強行
埼玉・入間基地など 市民ら監視行動
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陸海空の自衛隊が参加し、海外での「邦人輸送」を想定した訓練が17日、航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市、入間市)などで始まりました。同基地周辺の狭山、入間両市の市民らが訓練の監視行動に取り組みました。
訓練は17、18の両日に行われ、銃器を携行した隊員らが公道を使い、海外在住の日本人に見立てた隊員数十人を陸上自衛隊相馬原(そうまがはら)演習場(群馬県榛東村)から入間基地へ輸送するもの。地雷や爆弾の攻撃に耐えるとされる輸送防護車「MRAP」も公道を通行するとされています。入間基地内ではヘリなどを使用した訓練も行われます。
相馬原演習場を出発した訓練車両は、午後1時と6時ごろに入間基地に到着。市民らは同基地の正門前などで「戦争法廃止」「邦人等輸送訓練の中止を!」と書かれた横断幕やプラカードを掲げ、訓練の強行に抗議しました。
行動に参加した「ストップ入間基地拡張! 市民の会」の小川満世代表は「入間基地が海外派兵の最前線におかれる基地だということがよくわかる訓練です。入間基地は住宅地の真ん中にあって多くの住民が住んでおり、こんな訓練で戦争への道に進むことは許せない」と話しました。
解説
紛争地での攻撃を想定
戦争法を具体化
入間基地や相馬原演習場などで、陸海空3自衛隊の約450人が参加して17日始まった「在外邦人輸送訓練」は、紛争地域での武装勢力からの攻撃を想定した、武器使用を含む訓練となりました。
同訓練は、2013年の自衛隊法改定で日本国外での災害や騒乱などの緊急事態で、海外在住の日本人の輸送手段に車両を追加したことに伴い、昨年9月末から10月初めにかけて、陸海空の統合訓練として初めて実施されました。昨年の陸上輸送訓練は空自小牧基地(愛知県小牧市)内だけでした。今回初めて、武装した自衛官が乗り込んだ車両が、公道を走行し、より実践的な訓練となっています。
防衛省は、日本共産党の塩川鉄也衆院議員に対し16日、今回の訓練で携行する武器は小銃、拳銃、軽機関銃で、目的はテロリストや武装勢力の攻撃への「警戒」と日本人の「防護」だと説明しました。
9月に成立した戦争法では、輸送に加えて、海外で拘束された日本人の救出など「邦人保護」も盛り込まれました。邦人保護では、任務遂行のために武器使用も可能となりました。
今回の訓練では、「邦人保護」の訓練は見送られましたが、安倍政権は5月の戦争法案国会提出以前から、「(自衛隊は)対応できる能力を持っている」「(法案の内容などについて)与党間で協議されている」(中谷元・防衛相、3月1日の会見)など実現を狙ってきました。戦争法のもとで、「邦人保護」訓練が、実施される危険があります。
(佐藤つよし)