2015年12月12日(土)
BPO 政権圧力「強い危惧」
NHKには放送倫理徹底勧告
BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会は11日、「出家詐欺報道に対する申立て」に関する委員会決定で、政府・自民党が番組を制作したNHKに圧力をかけた問題に触れ、「強い危惧の念」を持つと批判しました。
NHK「クローズアップ現代」(昨年5月放送)で、“出家詐欺をあっせんするブローカー”と紹介された男性が、映像から本人だと特定されたとして人権侵害を申し立てたことへの決定です。
委員会は「映像から男性を特定できるものはなく、人権侵害に当たらない」と判断。しかし実際の男性と異なる虚構を伝えたと指摘し、NHKに放送倫理の順守をさらに徹底するよう勧告しました。
また、「クロ現」問題での自民党情報通信戦略調査会のNHK幹部への「聴取」や、高市総務相の「厳重注意」について、「民主主義社会の根幹である報道の自由の観点から、報道内容を萎縮させかねない」と「強い危惧の念」を表明しました。
同委の坂井眞委員長(弁護士)は「政府は番組編集の基準を定める放送法4条を根拠に『厳重注意』をしたが、4条は放送番組に対し干渉・規律する権限を何ら定めていない」と強調しました。
元NHKプロデューサー・永田浩三武蔵大学教授の話 番組には放送倫理上の重大な問題があり、NHKは自ら襟を正しなさいという内容で、その通りだと思います。また今回も政府・自民党に「黙っていてください」と書いたのは非常に重要です。本来言うまでもないことに言及しなければならない異常事態で、BPOは体を張って盾となっている。だからこそ現場は付け入るすきを与えてはいけないのです。