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2015年12月11日(金)

辺野古補助金 新基地「前提」

3区「政府にだまされた」

狙いは分断 怒りさらに

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 安倍政権が沖縄県名護市の「久辺(くべ)3区」(辺野古・豊原・久志の3地区)に、米軍新基地建設の「容認」を迫るために創設した補助金制度が、地元に新たな矛盾と混乱をもたらしています。3区は新基地への賛否と切り離した補償策を求めていたのに対し、政府のつくった新制度は新基地「容認」が前提になっているためです。

 制度の名称は「再編関連特別地域支援事業補助金」。11月27日付で策定された交付要綱には、米軍再編(この場合は辺野古新基地建設)が「実施されることを前提とした地域づくり」が目的だと明記。受け取れば「再編の円滑な実施」に協力するとみなされる仕掛けになっています。

 対象は▽日米交流に関する事業▽住民の生活の安全に関する事業▽その他生活環境の整備に関する事業―が含まれ、補助率は100%。額は防衛省のさじ加減で、今年度は1区あたり最高1300万円が名護市を介さずに直接投下されます。

「容認でない」

 ここでいう「区」とは、要綱自体が「地縁団体(自治会)」と定義するように、集落単位でつくる町内会的な組織で、人口は3区あわせて2900人程度(3月末時点)。発端は、昨年9月に3区長の連名で政府に提出した要請書でした。

 その中で、3区は18項目の補償策などを求める一方「要望が受け入れられない場合、命がけで反対する覚悟だ」とも明記。地元の意向に関係なく強行される工事に対する「配慮」を求める体裁をとっていました。

 区長の一人は、要請の意図について「われわれは『容認ではない』とはっきり言っている」と述べ、補助金と新基地への賛否は区別していると説明。別の区長も「辺野古移設が前提という話は(国と)していない」と、制度とは食い違う認識を示しました。

 一方、菅義偉官房長官は補助金が反対運動の「騒音」などに対する“迷惑料”だとし、新基地容認の“見返り”ではないと強調してきました。

 辺野古区で反対運動を長年続けてきた西川征夫さん(71)は「菅さんの説明はすり替えだ」と一蹴します。「結局、この金を受け取れば『容認する』という仕組みになっている。最初からだまされていた」と怒ります。

周辺区は排除

 新基地完成後には3区と同様にオスプレイなど軍用機の騒音が見込まれる大浦湾以北の地域は、制度の対象外とされました。あくまで区の域内に対象の基地が「所在する」ことが交付要件で、周辺区は排除する仕組みだからです。

 対象外となった汀間区の新名善治区長は「政府の狙いはこの地域の分断と、県と裁判を争う中で『地元は賛成している』と宣伝することだ」と指摘します。

 政府のやり方は、工事を強行する一方で、それに焦りを募らせる住民感情につけ込んで、「容認」のつかみ金を握らせようというものです。新名区長は「国が『地元は賛成』というのは、ペテン師と一緒。住民には恨みと悔しさしか残らない」と批判します。

 ただ、国は制度こそつくったものの、久志区では新基地反対の決議が今も生きており、区民総会で対応を議論中。辺野古区でも区内の議論はこれからといいます。長年、「アメ」で分断を迫られてきた地域への露骨な買収策は見透かされており、さらなる県民の怒りを招くだけです。 (池田晋)

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