2015年12月4日(金)
臨時国会召集拒否で重大事態
決まらぬ国会同意人事
憲法53条に基づく野党の臨時国会召集要求を安倍政権と自公両党が拒否している影響で、国会の同意が必要な人事が決まらず、任期切れなどで欠員が生まれる重大事態を招いています。
3日の任期満了で4日以降空席となるのは、経済市場での不当・不公正な競争などを禁止する独占禁止法を担う公正取引委員会の委員1人(山崎恒氏)です。7日には、国の収入・支出をチェックする会計検査院の意思決定に責任を負う検査官3人のうち1人(柳麻理氏)が任期満了を迎えます。
公正取引委員会は、内閣から独立した職務執行を保障される一方、その人事に国会の同意を要することで民主的コントロールを確保。国会の同意は職務の基盤となる重要な手続きです。
政権が憲法を無視して国会を開かないことで、重要な国の職務執行に空白をもたらしかねない、法の予定しない重大事態が起きています。
ほかにも、任期満了前に辞職した電波監理審議会委員1人や、マイナンバー導入に伴い同制度の運用を監視するために来年1月1日から「個人情報保護委員会」に改組される「特定個人情報保護委員会」の増員分(2人)の委員も決まらない事態が生まれます。来年1月7日には地方財政審議会委員(5人)も任期満了となります。
以上の人事のうち、新たに改組・発足となる「個人情報保護委員会委員」については、法律上、新たな委員が決まるまで現任者が引き続き職務を行うことができる「職務継続規定」があるほか、「地方財政審議会委員」についても、国会閉会中は総務相が任命でき、次の国会で同意を得るとの規定があります。しかし、公取委員や検査官などには同様の規定がなく、任期満了で直ちに欠員となります。
国会同意人事は、国会を召集した上で衆参両院の本会議でそれぞれ議決する必要があり、閉会中審査で決めることはできません。
臨時国会年内召集拒否で欠員が生じる国会同意人事
電波監理審議会委員 1人(9月30日に辞職)
公正取引委員会委員 1人(12月3日任期満了)
検査官(会計検査院) 1人(12月7日任期満了)
個人情報保護委員会委員 2人(来年1月1日発足)
地方財政審議会委員 5人(来年1月7日任期満了)