2015年12月4日(金)
はやぶさ2、スイングバイ
18年夏 リュウグウめざし
小惑星リュウグウをめざして飛行中の探査機「はやぶさ2」は3日夜、地球の重力を利用した加速「スイングバイ」を行いました。
はやぶさ2は同日午後7時すぎに太平洋上空約3090キロメートルを通過し、地球の軌道に近かったこれまでの軌道から大きく進路を曲げて加速し、リュウグウへ向かう軌道に入る予定です。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、探査機の状態が健全であると確認。今後1週間ほどかけて予定の軌道に入ったかどうか判断するとしています。
はやぶさ2は昨年12月、JAXA種子島宇宙センターから打ち上げられた後、地球スイングバイに向けて軌道修正を行ってきました。地球スイングバイは、リュウグウに行くための“最大の関門”で、計画通り成功していれば2018年夏に到着する予定。約1年半かけて、リュウグウを近くから観測したり、表面や地下の物質を採取し、20年冬に地球に帰還します。
リュウグウは900メートルほどの大きさ。水や有機物を含む鉱物があると考えられており、近傍からの観測や持ち帰った物質の分析で、生命を育む地球の成り立ちなどを解き明かす手がかりが得られると期待されています。
スイングバイ航法 惑星や月などの天体の重力を利用して探査機の軌道を制御する航法。天体の近くを通過すると探査機は、重力で軌道を曲げられるとともに、公転運動をしている天体の後方を通過した場合は増速され、前方を通過した場合は減速されます。天体自身も速度が変わりますが、はやぶさ2と地球のように質量差が圧倒的な場合には無視できます。