2015年12月3日(木)
リュウグウへ針路を取れ
小惑星探査機「はやぶさ2」今夜、接近
18年到達目指す 地球の重力生かし加速
小惑星リュウグウへ針路を取れ―。探査機「はやぶさ2」は日本時間の3日午後7時すぎ、太平洋上空を通過し、地球の重力を利用した加速「スイングバイ」によって目的地の小惑星リュウグウへ向かう軌道に入ります。(中村秀生)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、現在、はやぶさ2は太陽を回りながら、地球に対して秒速約5キロメートルで後方から接近中です。2日午後11時には月の軌道(約38万キロメートル)より内側に入り、3日午前9時すぎに地球から20万キロメートルを切ります。地球の重力に引っ張られて速度を増して、地球のそばを北から南に一気に軌道を80度曲げて通過します。
最接近は午後7時8分の予定で、米ハワイ西方沖の上空約3090キロメートルを通過します。地球をバレーボールに例えると、5センチメートルに相当する高さです。
計画通りなら、はやぶさ2は太陽を回る速度を秒速30・3キロメートルから秒速31・9キロメートルに増速。地球の軌道の近くから、一路リュウグウへ向かう軌道に入ります。リュウグウ到達は2018年夏の予定。
はやぶさ2は、地球スイングバイに向けて11月に軌道の微修正のためのエンジン噴射を2回実施。すでに計画通りの軌道にあることが確認されています。
日本周辺では、日没からスイングバイの直前にかけて、はやぶさ2が大型望遠鏡で見える可能性があり、全国各地の天文台が観測に挑戦します。
小惑星探査機「はやぶさ2」計画 2014年12月3日にJAXA種子島宇宙センター(鹿児島)から打ち上げました。地球スイングバイを経て、18年夏に小惑星リュウグウに到着。約1年半かけて、近傍から観測するとともに、小惑星の表面や人工クレーターをつくって露出させた地下の物質を採取します。19年冬にリュウグウを出発し、20年冬に地球に帰還する予定です。6年間の総航行距離は約52億キロメートル。
「はやぶさ2」は、2010年に人類史上初めて小惑星の物質を地球に持ち帰った初代「はやぶさ」の後継機。リュウグウは、はやぶさが行った小惑星イトカワとは別のタイプの小惑星で、水や有機物を含む鉱物があると考えられています。生命を育む地球の成り立ちなど、太陽系進化の謎解明に挑みます。
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