2015年11月26日(木)
少年法の適用年齢下げ反対
日弁連シンポ 共産党も連帯
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政府・自民党が少年法の適用年齢を20歳未満から18歳未満へと引き下げる動きを強めるなか、日本弁護士連合会(日弁連、村越進会長)は24日夜、東京都内で同法の適用年齢引き下げに反対するシンポジウムを開きました。日本共産党の国会議員が参加し、連帯を表明しました。
日弁連は年齢引き下げに反対する意見書と会長声明をそれぞれ2月、9月に発表。全国52全ての単位弁護士会も反対の会長声明を発表しています。全国の刑事法研究者や全司法労働組合なども反対運動を進めています。
年齢引き下げに反対する理由について日弁連の平山秀生副会長は、少年事件が減少し、凶悪化もしていない事実を挙げ、「年齢引き下げ論の前提とされる事実が間違っている」と指摘。「現行の少年法によるきめ細やかな福祉的・教育的処遇が少年の社会復帰や再犯防止につながっている」と述べ、現行法を変える必要性は全くないと訴えました。
また、法務省が適用年齢引き下げなどについての意見を12月末まで募集していることに対し、反対の声を多数届けようと呼びかけました。
刑事法研究者の浜井浩一・龍谷大学教授、全司法労働組合少年法対策委員で家庭裁判所調査官の伊藤由紀夫さん、小田原少年院元院長の八田次郎さんらが少年法の果たしてきた役割などについて報告しました。
国会から各党の議員や秘書が参加。日本共産党から小池晃副委員長が、この問題についての党の見解(別項)を発表しました。仁比聡平参院議員、畑野君枝、清水忠史両衆院議員があいさつし、年齢引き下げ反対の運動に連帯し、たたかう立場を表明しました。
小池副委員長が見解表明
日弁連が24日に開いた少年法の適用年齢引き下げに反対するシンポジウムで、日本共産党の見解を表明した小池晃副委員長の発言(要旨)は次の通りです。
引き下げに反対する一つ目の理由は、18歳、19歳を少年法の適用から外せば、更生を妨げ、少年本人の利益に反するだけでなく、再犯(再非行)の危険を増大させることになるからです。
年齢が引き下げられれば、年間の少年被疑者約12万人のうち4割を占める18歳、19歳の少年が少年司法手続きから外れ、「成人扱い」となります。
少年事件の多くを占めるのは「万引き」や「自転車泥棒」「ケンカによる傷害」「交通違反・過失運転致死」などです。これが「成人並み」に扱われれば、不起訴処分や略式命令による罰金刑などで終了するか、執行猶予付きとなり、「厳しく罰する」どころか、反省と再犯防止や立ち直りに向けた十分な処遇を行われないまま放置することになります。
第二の理由は、18歳、19歳の少年法適用外を口実に、少年犯罪の防止と少年の更生に取り組む体制が大幅に弱体化される危険性があるからです。
この間、少年犯罪は減少し、少年による凶悪犯罪も減少している一方、貧困と格差の広がりと、それにともなう家庭・地域の脆弱化、いじめや虐待の深刻化など子どもの育つ環境はいっそう困難なものになっています。
少年法の理念と、それを支える体制をこれ以上後退・弱体化させてはならず、むしろ充実させることが必要なときに、適用年齢の引き下げは、これに逆行することになります。
第三に、そもそも年齢制限というものは、それぞれの制度や法の目的によって異なる基準があってしかるべきで、「選挙権が18歳になったのにそろえる」というだけの理由で、適用年齢を引き下げるべきではありません。
以上の理由から、日本共産党は日弁連など関係者のみなさんと力を合わせ、適用年齢引き下げを止めるために力を尽くしたいと思います。