2015年11月26日(木)
比例定数30削減 自民が説明
民意恐れ独裁狙う
安倍晋三首相と自民党による衆院比例定数30削減の動きは、民意反映の公正な選挙を求める世論に逆行する独裁政治への動きとして見過ごせません。
現在の小選挙区中心の衆院選挙制度(小選挙区295、比例180)のもと、比例定数は民意を忠実に反映する部分となっており、その一方的削減はますます民意を切り捨てることになります。
昨年12月の総選挙で、自民党は小選挙区で得票率48・1%でしたが、小選挙区での議席占有率は75・6%(223人)にも及びました。政党間の力関係をストレートに表す比例代表区での自民党の得票率は33・1%にすぎません。衆院定数を単純に各党の比例得票率で配分すると自民党は158議席にとどまる計算です。
憲法の制約を無視して戦争法を強行した安倍自公政権の「数の暴力」の根本には、巨大政党に極端に有利に働き、民意をゆがめる小選挙区制度の「効果」があります。
安倍政権は、憲法53条に基づく野党による臨時国会開会の要求も無視して暴走を続け、「日米同盟調整メカニズム」の始動など戦争法具体化の動きを強めています。沖縄県民の圧倒的多数の世論を踏みにじって強行される辺野古埋め立て工事、原発再稼働、消費税再増税への動きなど、安倍政権が強行する主要政策は、国民の多数世論に明確に反するものばかりです。
議会構成への民意の忠実な反映のため、小選挙区制中心の現行制度を抜本的に見直しすることこそ、選挙制度改革をめぐる最大の焦点です。民意を最も忠実に反映する比例定数を削減する企てには、民意を恐れ独裁政治を継続するよこしまな狙いが込められており、絶対に許すわけにはいきません。
(中祖寅一)