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2015年11月26日(木)

政府、TPP対策「大綱」

具体化は来秋 不安消えず

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 政府は25日、環太平洋連携協定(TPP)総合対策本部の会合を開き、「総合的なTPP関連政策大綱」を決定しました。TPPに対する国民の「懸念・不安」の払拭(ふっしょく)に腐心し、中堅・中小企業の海外展開を後押しする「新輸出大国」や「貿易・投資の国際中核拠点」、農産物輸出を中心にした「農政新時代」といった構想を打ち出しました。具体的内容は、来年秋をめどに詰めるとしています。

 分野別の政策では、農産物重要5品目関連の施策を特記。「大筋合意」で約束した国別輸入枠新設で輸入量が増える米については、政府備蓄米の保管期間を原則5年から3年程度へ短縮、国別輸入枠に相当する量を備蓄米として買い入れるとしました。ただ、米価下落への効果は不透明で、農家の不安の解消にはなりません。

 関税が削減される牛・豚肉について、肉用牛肥育経営安定特別対策と養豚経営安定特別対策の事業を法制化し、両事業による補填(ほてん)率を引き上げるとしました。

 また、農林水産物の輸出拡大を強く打ち出し、2020年の農林水産物・食品輸出額1兆円の目標を前倒しするとしました。しかし、輸出促進は、農業の再生や国民に対する食料の安定供給の保障になりません。

 中堅・中小企業の海外進出の後押しでは、金融機関による支援のほか、支援対象企業の海外事業拡大で成功率60%の目標を明記しました。

解説

国会審議ないまま暴走

 政府の「総合的なTPP(環太平洋連携協定)関連政策大綱」は、まだ署名も、国会審議も行われていないTPPへの対策です。臨時国会の開催を拒否し、秘密交渉による「大筋合意」の経過も詳細も明らかにしないまま暴走する安倍晋三政権の姿勢のあらわれです。

 政府が「TPP関連政策大綱」によって「国民の不安の払拭」を図ろうとしていること自体、TPPが多国籍企業の利益を最優先し、国内産業や国民生活を害するものであることを示しています。「政策大綱」は、来年の参議院選挙に向けたものであることは明らかです。政府は、TPPの作業から撤退し、署名を中止すべきです。

 政府はこれまで、農林水産業の国際競争力を強化するとして、経営の大規模化を推進してきました。しかし、専業農家や大規模経営ほどTPPの影響を強く受けます。競争力の強化や輸出拡大も掛け声ばかりで、農家や国民の不安を解消するものではありません。

 (北川俊文)


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