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2015年11月22日(日)

自衛隊イラク派兵

政府が自画自賛

戦争法の危険浮き彫り

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 政府は18日、戦争法強行成立を受け首相官邸ホームページに掲載している特集、「『なぜ』、『いま』、平和安全法制か?」を改訂しました。自衛隊イラク派兵についての項目を新たに設け、「復興にとって重要な役割を果たした」などと自画自賛しています。イラク戦争支援への無反省ぶりと、戦争法の危険性が改めて浮き彫りとなった格好です。

 改訂版は、陸上自衛隊のイラク南部サマワへの派兵とともに、航空自衛隊が実施した輸送活動に言及し、「欧米諸国からはもとより、イラクを含む中東諸国からも、イラク国民に資する取組だとして評価されました」と強弁しています。

 空自派兵は、イラク戦争開戦から9カ月後の2003年12月から5年間にわたり実施されました。当初の目的は隣国クウェートからイラク南部への物資などの輸送でしたが、06年7月の陸自撤収後は、米政府の要請のもと、極めて危険な首都バグダッドなどへの多国籍軍兵士の輸送に特化。活動終了までに米兵だけで2万3000人以上を空輸しました。

真実は破壊

 これら米兵はイラク各地で「武装勢力掃討」という名の無差別攻撃を繰り返しました。イラクの破壊と民間人殺害で重要な役割を果たした―。政府が何と言おうと、これが自衛隊派兵の真実です。

 だからこそ、名古屋高裁は08年4月、空自の輸送活動は憲法が禁止する「他国の武力行使との一体化」であると違憲判決を下したのです。司法の断罪にもかかわらず、政府が今回の改訂版で「自衛隊員が活躍」したなどと描くことは、戦争法の危険性を覆い隠す意図を露骨に示しています。

 政府による美化が通用しないことは、サマワへの陸自派兵も同様です。記者が中東駐在時の04年に取材したイラクの大学教授は、「日本は米国に従うという以外のいかなる意思ももっていない」と厳しく指摘しました。

 日本共産党の穀田恵二衆院議員が戦争法案の審議で示した自衛隊内部文書「イラク復興支援活動行動史」は、陸自活動は「純然たる軍事作戦」だったとしています。

ISの誕生

 日本政府が支援したイラク戦争・占領で同国はどうなったか。数十万とも100万ともいわれる民間人が命を奪われたうえ、いまも「宗派対立」の大混乱に見舞われています。それは過激組織ISの誕生と勢力拡大という結果も生み出し、先のパリでの連続テロ事件に見られるように、世界を恐怖の渦に巻き込んでいます。

 戦争法成立で、自衛隊が米軍主導の「有志連合」による対IS軍事作戦に参加するのではないかと危惧(きぐ)する声が相次いで出ています。イラク戦争に無反省の政府の姿勢は、これに強い信ぴょう性を与えています。

 改訂版では、自衛隊がイラク復興に貢献した根拠として、イラクのマリキ前首相の評価の言葉を紹介していますが、まさに噴飯ものです。イスラム教シーア派の同氏は、米軍による分断占領政策を引き継ぎ、少数派のスンニ派抑圧を推し進めたことで悪名をはせた人物。「宗派対立」の激化とISの台頭をもたらし、昨年8月に退陣に追い込まれました。

 (小泉大介)


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