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2015年11月20日(金)

新しい大阪へ11・22W選 さらば!橋下「維新」政治

京都大学名誉教授、関西大学教授 河田 惠昭さん

防災での成果ほとんど無し

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 災害は自然現象ではなく、社会現象です。生活と切り離して防災の問題は議論できない。防災・減災は極めて政治的な問題なんです。

 大阪府政・市政で橋下・松井両氏は何をやってきたのか。

 南海トラフ巨大地震が起きると地震と津波で大阪府内では約13万4000人が亡くなります。しかし、大阪は対策が非常に遅れている。2000人が働く府の咲洲(さきしま)庁舎も南海トラフ地震で震度6弱で往復15メートルも揺れる。利用し続けるのは危ないんです。

まずは安全対策

 「維新」は津波、高潮水没の危険性を放置して地下鉄の民営化を推進している。大阪は東京と比べると地下鉄ホームの落下防止柵が少ない。民営化の議論より、まずは安全対策をやらなきゃいけない。

 大阪市は水道管の耐震化は40%しか終わっていない。全国ワーストワンなのに市営水道を民営化するという。南海地震が起こったら大阪市は初日、100%断水します。94カ所から出火するのに火が消せない。大阪市内は全国で一番木造密集市街地が広がっています。ワースト10のうち八つが大阪です。風の強い日に地震が起こったら市域全域が燃えてしまう。“市営水道売ったらもうかる”って何考えてるんだ。

 それから敬老パスの有料化。これは高齢者の自宅引きこもりを促進して、健康維持の効果を軽視し、まちのにぎわいや地域防災力の低下を軽視している。地域防災力というのはコミュニティーがなかったらできない。コミュニティーというのは日ごろの付き合いです。家に閉じこもっていたらそれができないじゃないですか。

 大阪は地震、津波、洪水、高潮が起こりうるんです。高潮災害は64年間起きていない。だからってもう起きないわけじゃない。大きい災害ほど間隔が広いから危ないんです。だから次は大きな災害が発生すると考えなきゃいけない。

 今まで大阪の防災・減災にかんしてほとんど成果のない人たちが変えるといって、良いように変わるんですか。まったく信用できない。

つぶしたら最後

 大阪市をつぶしたら元に戻らない。つぶして新しいものをつくるというが、いったんつぶれたら文化が全部だめになるんです。

 災害のことを考えずに「大阪都」構想という“ゴール”だけを目指して政治をやるって危ないじゃないですか。大阪には文化・歴史がある。歴史をだめにしてはいけないんです。

 (大阪市内で開かれたシンポジウムから)


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