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2015年11月18日(水)

辺野古「代執行」訴訟

国の不当性示す契機に

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 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐるたたかいは、沖縄県と安倍政権との法廷闘争に突入しました。政府が、翁長雄志知事による辺野古埋め立て承認の取り消しは「違法」だとして、県に代わって国が取り消し処分を撤回する「代執行」を求めた訴訟。判決の行方は今後のたたかいに委ねられますが、大義は沖縄県にあります。法廷闘争を、国の不当性を明らかにする場にする必要があります。 (竹下岳)

日米同盟前面に

 「辺野古埋め立て承認の取り消しで普天間飛行場の危険性除去ができなくなり、日米両国の信頼関係に亀裂が入り崩壊しかねない」―。政府が17日、福岡高裁那覇支部に提出した訴状によれば、これが、県を提訴した最大の理由です。

 しかし、これらの言い分は、政府の立場から見ても成り立ちません。普天間代替施設=辺野古新基地の完成は早くて2020年代前半です。他方、政府は普天間基地の「19年2月までの運用停止」を明言しています。ところが、政府はそのための外交交渉を一切行っていません。

 米国は、フィリピンのように国民の意思で米軍基地を全面撤退させた国との友好関係も維持しています。基地を一つ造らなかったぐらいで「信頼関係に亀裂が入る」という主張にも、何の説得力もありません。

 翁長知事は、普天間基地を含む沖縄の米軍基地は「米軍が住民を収容所に入れている間に強制接収したもの」であり、「これを返す代わりにほかの基地を差し出せというのは理不尽」だと繰り返し主張しています。

 さらに、普天間基地所属の航空部隊を含む米海兵隊を沖縄で一体的に運用することが「抑止力になる」という主張にも疑問を投げかけ、「普天間基地の県内移設は不必要」だと指摘しています。高裁は辺野古新基地の必要性そのものについての判断を下すべきです。

地方自治否定

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(写真)辺野古新基地の「本体工事」=12日、沖縄県名護市辺野古

 訴状はさらに、「県知事が国の存立や安全保障に影響を与える重大事項について、適否を判断する権限はない」と述べています。驚くべき地方自治否定の見解です。

 こうした政府の主張に対して沖縄県側は、「地方自治の本旨にもとる」と批判。翁長知事は11日の会見で、「憲法上、国と地方は対等な関係にある。地方自治の否定は国民の基本的人権の否定でもある。国のかじ取りは、地方からの多くの意見を聞きながら進めるのが当たり前の姿だ」と語っています。

 知事の発言は法的にも正当です。辺野古の埋め立て承認は、公有水面埋立法で知事の権限として定められています。知事に権限があるのは、国と地方の関係が対等だからです。

 「日米同盟に対して地方は口出しするな」という姿勢を取るのなら、「法治国家」(菅義偉官房長官、17日)の資格はありません。

本来は不必要

 そもそも、この裁判は不必要なものです。沖縄県民の8割が辺野古新基地に反対し、昨年は沖縄県知事選、名護市長選や総選挙など一連の選挙で新基地反対派が圧倒的な勝利を重ね、これ以上ない形で民意が示されました。政府はこの時点で新基地を断念すべきだったのです。

 民意を無視して新基地の工事を強行する政府に対して、「あらゆる手段で新辺野古基地を阻止する」と公約して圧勝した翁長知事が埋め立て承認の取り消しなどを行うことは当然の措置です。


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