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2015年11月18日(水)

主張

政府の沖縄県提訴

新基地のために何でもありか

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 沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設問題で、翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消したことについて、安倍晋三政権は、知事に代わって取り消し処分を撤回する「代執行」に向けた訴訟を福岡高裁那覇支部に起こしました。沖縄県をはじめ圧倒的多数の県民が反対している新基地建設をなにがなんでも押し付けるため、国家権力によって民主主義と地方自治を乱暴に踏みにじろうとする許し難い暴挙です。

国家権力の無法な乱用

 昨年11月の知事選で圧勝した翁長知事は、仲井真弘多前知事の辺野古沿岸部の埋め立て承認について第三者委員会の検証結果を受け、今年10月に「取り消すべき瑕疵(かし)」があると結論付けました。普天間基地の辺野古「移設」に合理的な説明・根拠がないことや、自然環境・住民生活への大きな被害、沖縄の過重な基地負担の固定化などが理由です。知事の取り消し処分が適法かつ正当であることは言うまでもありません。

 今回の提訴は、翁長知事の埋め立て承認取り消しを「違法」だとして撤回を求めた安倍政権の「是正勧告」や「是正指示」に知事が従わなかったからだというものです。しかし、知事の道理ある決定を覆し、新基地建設を強行するため、法制度の無法な乱用、悪用を重ねてきたのは安倍政権です。

 その典型が、公権力による違法・不当な処分から国民の権利・利益を守ることを目的にした行政不服審査法の悪用です。

 防衛省沖縄防衛局が一般の“私人”になりすまし、翁長知事による埋め立て承認取り消しの“被害者”を演じ、所管の国土交通相に知事の決定の不服審査請求と執行停止を申し立てました。しかし、辺野古新基地は日米両政府の合意に基づき米海兵隊基地キャンプ・シュワブとその沿岸部に最新鋭の強大な基地を建設するという沖縄防衛局による国の事業です。“私人”であるはずがありません。

 国交相は沖縄防衛局の執行停止の申し立てを認めました。辺野古の新基地建設が「唯一の解決策」だという安倍政権の方針の下、防衛局の申し立てを受け内閣の一員である国交相が執行停止を決定するなどというのは極めて姑息(こそく)な“一人芝居”です。国民の権利・利益を守るための制度を国家権力が基地を押し付けるために使うなど法治国家にあるまじき行為です。

 安倍政権がこんなやり方をとったのは、知事決定を執行停止しないで「代執行」の裁判に入っても、判決が出るまで新基地建設の工事を進めることはできないためです。“私人”を装った行政不服審査法の悪用で知事の取り消し決定を執行停止にして工事を続行できるようにし、それが可能になったとたん“私人”の仮面を脱ぎ捨て、今度は国家権力の正体をむき出しに、「代執行」の裁判を起こし翁長知事の権限を奪い去ろうとしているのです。理不尽の極みです。

新基地許さぬ声を全国で

 安倍政権に沖縄を「違法」と訴える資格はありません。問われるべきは、民意を押しつぶし、民主主義と地方自治の破壊を推し進める安倍政権の強権・無法の姿勢です。新基地建設をきっぱり拒否している沖縄に連帯するたたかいを全国でさらに大きく広げようではありませんか。


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