2015年11月17日(火)
戦争法実行の日米「調整所」
横田基地・防衛省に拠点
最高司令部も米軍指揮下
「平時」から先制攻撃戦争にいたるあらゆる事態で自衛隊を米軍の指揮下に事実上組み込む日米常設の「同盟調整メカニズム」(ACM)内で中核的な役割を果たす「軍軍間の調整所」が、米軍横田基地(東京都福生市など)と防衛省(新宿区市谷本村町)を中心に運用されることが分かりました。
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防衛省は本紙の取材に対し、「調整所は事案ごとに決められ、特定の場所を指すものではない」とする一方、「在日米軍司令部の所在する横田や、防衛省の所在する市ケ谷で調整を行うことが多い」と認めました。
ACMは、新ガイドライン(日米軍事協力の指針)で設置が決定され、3日の日米防衛相会談を経て運用を開始。戦争法を実行する日米の統合司令部といえるものです。
横田基地内には2012年3月に航空自衛隊の航空総隊司令部が移転され、米軍・自衛隊の「共同統合運用調整所」(BJOCC)を設置。防衛省の地下には、自衛隊の最高司令部としてあらゆる情報が集約される中央指揮所が置かれています。
ACM内の軍軍間の調整所は、「共同運用調整所」(BOCC)と、「各軍間の調整所」(CCCs)の二層構造。この枠組みは、11年の東日本大震災時に実行された「トモダチ作戦」をモデルにしたものです。
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この時、米軍・自衛隊は日米合意上、戦争時に限定されていた「共同調整所」を初めて開設。指揮機能の中枢となる横田・市ケ谷に幹部を相互派遣して作戦全体を調整する一方、現地司令部の仙台にも調整所を設置しました(図)。
今回のACMも、「調整所は1カ所とは限らず、(作戦の)現場につくることも排除されない」(政府関係者)仕組みです。
また当時、米側は在日米軍司令官よりも格上の太平洋艦隊司令官を横田基地に乗り込ませて、作戦を指揮。BOCCでは、米側トップに太平洋軍司令部が新たに名を連ねており、日米一体化と自衛隊の従属化がいっそう進む危険があります。(関連記事)