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2015年11月16日(月)

きょうの潮流

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 〈詩といふものは/どんなものでもありうる。/けれどもそれは、/結局のところ何ものかへの/心潜めた呼びかけでなければ、/詩である必要もない/のではなからうか。〉(『地上楽園の午後』あとがき)▼詩人・大岡信(まこと)さん(1931〜)の業績を草稿や創作ノート、作品でたどる展覧会が東京・世田谷文学館で開催中です。ひたすらに呼びかけてくる言葉が満ち、その心を聴き取ろうとする人たちがいます▼〈われわれは前もって/知ることはできぬ、/愛するものの/すさまじい崩壊のさま。〉―「マスコミ九条の会」の呼びかけ人も務める大岡さんの「前もって知ることはできぬ『戦争はすべてを手遅れにする』」という詩の一節▼「言語というものは単独にあるのではなく、社会的な存在としてつながっているものだ」(『日本語の豊かな使い手になるために』)と語る詩人は、共通性ではなく差異だけが強調される競争社会の中で、精神が孤独を深め、言語も孤立的になっていると危惧します▼複数が集い、順番に詠んでいく連歌・連句の伝統を踏まえ、「連詩」という新たな詩形を生み出したのも、人と人、言葉と言葉、人と言葉の結びつきと信頼を取り戻そうとする試みだったのかもしれません。共同性は個性を離れてはあり得ず、協力することで互いの個性が刺激され、よいものが引き出されるといいます▼異なる思考や感性を持つ人たちが一つの場所で言葉によって生かし合おうとする努力。それもまた民主主義ではないかと気づきました。


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