2015年11月13日(金)
スパイ衛星増強を計画
宇宙戦略本部 工程表改定案を公表
国の宇宙開発戦略本部(本部長・安倍晋三首相)は11日、宇宙基本計画の実施スケジュールを具体化した工程表の改定案(素案)を公表しました。情報収集衛星(軍事スパイ衛星)について、現在の4機体制を10機体制に増強するほか、弾道ミサイル防衛で敵のミサイル発射を探知する早期警戒衛星のための赤外線センサーを衛星に搭載して打ち上げる実証試験を2019年度に実施すると明記。これまで進めてきた宇宙の軍事利用をいっそう加速する内容です。
情報収集衛星は、光学衛星、レーダー衛星の各2機体制を倍増させて地球上の目標地点の1日複数回の撮影を可能とするとともに、データ中継衛星の2機体制で撮影データを地上に送信する能力を高める狙い。「安全保障」需要で確実な利益を得たい宇宙産業界の要望にそった内容です。
米軍と連携して他国の衛星や宇宙ごみを監視する「宇宙状況把握」の施設設計や運用体制の構築については、16年度に着手するとしています。
現行の宇宙基本計画は今年1月に決定。工程表は毎年改定するとしており、今回の素案への国民の意見を17日まで募集し、戦略本部で決定します。
情報収集衛星 昼間の晴天時に地上の物体を監視する光学衛星と、夜や曇りでも使えるレーダー衛星があります。衛星システム全体で毎年600億〜700億円規模の税金が投入され、1998年度以来の総額は1兆円超。性能や運用の詳細は非公開で、撮影画像などは「特定秘密」に指定されています。
導入目的に「安全保障」だけでなく「大規模災害への対応」を掲げながら、「安全保障上の情報収集活動に支障を及ぼす」として、東日本大震災の被災地を含めて画像はいっさい非公開とされ、日本共産党は災害被災地の撮影画像の公開を政府に繰り返し求めてきました。今年9月、関東・東北豪雨の被災地の画像が、加工処理されたうえで初めて一般公開されました。ただ加工処理による画像の劣化で、情報の有用性は損なわれているとみられます。