2015年11月13日(金)
新薬加算広げ高薬価維持
厚労省、製薬企業の利益優先
中医協専門部会
2016年度診療報酬改定をめぐり、厚生労働省は11日、製薬企業の利益を優先して高薬価を維持する「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(新薬加算)を拡大する考えを中央社会保険医療協議会の専門部会で示しました。企業側も意見陳述し、加算の継続を求めました。
新薬加算は、新薬の開発費の確保などを口実に10年から試行導入したものです。14年までに2180億円が注ぎ込まれ、対象品目の薬剤費は総薬剤費の3割に拡大。薬価の高止まりの原因になっています。
厚労省は、「医薬品産業の国際競争力強化に向けた必要な措置」を求めた安倍政権の「骨太方針」などを示し、新薬加算を維持・拡大する方針を強調。企業側も「研究開発原資の確実な確保」と称して、加算の継続を迫りました。
医療費の支払い側にあたる健康保険組合連合会の委員は「2千億円の投資がどれだけの効果を生んだか、きちんと検証すべきだ」と指摘しました。
中医協ではまた、集合住宅やアパートなどの同一建物での同一日の在宅医療について、個人宅訪問などに比べてコストが少ないなどといって報酬の削減対象とした前回改定について一部見直す考えも示しました。改定によって、日を変えて訪問するなど医療機関の負担増となり、「診療の効率性が低下している」と分析しています。
現在、月に一度でも同一建物以外を訪問していれば減算されないのを、1カ月の訪問患者数を細分化して、訪問日の変更が生じている問題に対応。同一建物の区分についても、高齢者向け集合住宅・施設以外のアパートや団地の場合は削減幅を緩めることを提起しました。