2015年11月13日(金)
きょうの潮流
「官邸のいうがままだ」。今の防衛省の空気を最近会った元幹部はそう明かします。沖縄の米軍新基地問題をめぐる安倍政権のやり方のことです▼行政不服審査法を悪用し、県の埋め立て承認取り消しの効力を停止させる。知事の権限を奪う「代執行」手続きも開始。工事を再開させ警視庁の機動隊も投入する一方、地元行政区には直接振興予算で懐柔する▼なりふり構わぬ強権姿勢。そこまでして建設を急ぐ新基地とは何なのか。同基地を使うことになる米海兵隊は10月、沖縄で大規模演習を実施しました。「ブルー・クロマイト」と名付けられた演習の様子を米軍準機関紙「星条旗」が伝えています▼揚陸艦から水陸両用強襲車で出撃し、沖縄本島東海岸に上陸。海兵隊員は「敵」が待ちうける都市型戦闘訓練施設「コンバット・タウン」など複数の「町」の攻撃へ。家屋を一軒一軒、部屋の一つひとつを襲い、「敵」を一掃。ある小隊は20人の隊員を失いながらも、50人の「敵」を殺害。ある幹部は「結果に満足だ」。これが彼らにとっての命の重さです▼別の幹部は海兵隊ウェブサイトで強調します。「ブルー・クロマイトは海兵隊がアジア太平洋地域でいかに作戦が行えるかを示している」。イラク戦争にも出撃した沖縄の海兵隊。彼らの視線は日本防衛をはるかに超えています▼こんな「殴り込み部隊」のために新たな巨大基地を捧(ささ)げる。そのために「オール沖縄」の民意も法治国家のルールも踏みにじる。そこには何の道理もありません。