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2015年11月12日(木)

大阪府知事選 「二重庁舎」問題 争点に浮上

くりはら候補 「無駄の最たるもの」 「咲洲」撤退を

松井氏は固執「活性化の司令塔」?

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 22日投票の大阪府知事選で府の「二重庁舎」問題が争点の一つに浮上しています。日本共産党が「維新政治に終止符をうつ」と自主支援する、くりはら貴子候補(53)=無所属、自民党推薦=は、咲洲(さきしま)庁舎(大阪市住之江区南港北)を「無駄の最たるもの」と主張し、撤退をかかげています。(小浜明代)


地図:咲洲庁舎

 咲洲庁舎は臨海部の人工島「咲洲」にそびえる55階建て(256メートル)の超高層ビルです。1995年に大阪市がベイエリア開発のシンボルとして建て、テナントが十分集まらずに経営破たんした第三セクター・大阪ワールドトレードセンタービル(WTC)を橋下徹知事(当時)が2010年、85億円で購入しました。現在、咲洲庁舎に2000人、本庁(大阪市中央区大手前)に2800人が勤務しています。

否決したのに

 庁舎をめぐっては本庁の耐震補強が決まっていましたが、橋下氏は「大阪・関西の起爆剤に」とWTCへの全面移転を09年2月に提案。議会の論戦で耐震化よりコストがかかることや防災拠点にならないことが露呈し、庁舎の移転もビル購入も否決しました。ところが橋下氏は半年後の9月、またもや府庁移転を提案。全面移転は再び否決されましたが、ビルの購入は認めるという結果になりました。これを機に6人が自民党から飛びだし、のちに橋下氏を代表とする「大阪維新の会」を結成。その1人がいまの松井一郎知事です。

150億円も高く

写真

(写真)咲洲庁舎

 一部移転から5年たったいまの現状はー。

 ビル購入費や改修・維持管理で約186億円を支出。テナントからの収入を差し引いた実質負担は約134億円にのぼっています。府の試算では庁舎併用の場合、09年〜41年までで大手前への集約より150億円高くかかります。

 咲洲地区の活性化についても進出企業数は全く変わらず、ビルの入居テナント数は購入時の42軒から17軒に激減(今年9月)。4割が空き家でテナント収入は管理コストを大幅に下回っています。

 府民の利便性や職員の業務にも影響が出ています。

 咲洲庁舎と本庁との距離は約10キロメートル。片道40分かかり、のべ約3万5千人の職員が両庁舎を往復しています(14年度実績)。

 大阪府関係職員労働組合(府職労)が今年の8〜9月にかけて実施した職員アンケート(回収1062人)では府民の利便性について「悪くなったと感じる」が83・2%にのぼり、47・6%が仕事が「非効率」と回答しています。

 行政書士の藤岡久夫さん(67)は「大手前は他の官庁が周辺にあり、便利でした。咲洲庁舎には時間も交通費もかかります。大手前と両方で手続きが必要なときもあり、さまざまな手続きで府庁を訪れる一般の方にとっても不便になっています」と話します。

大震災で被害

 ビルの安全性への危ぐは現実のものとなりました。11年の3・11東日本大震災で震源から700キロ離れた大阪は震度3。府内の建物にほとんど被害はありませんでした。ところが咲洲庁舎は約10分、最大2・7メートルの幅で横揺れし、エレベーター全26基が停止。4基に5人が閉じ込められ、全員救出に5時間以上かかりました。壁や天井などの破損は360カ所に及びました。

 専門家による検証で南海トラフ巨大地震で咲洲庁舎は往復13メートル揺れ、耐震補強に莫(ばく)大な経費がかかることなどが指摘され、橋下氏は全面移転を断念しました。

 こうした現実を前にしても大阪維新の会幹事長で再選をめざす松井氏は「活性化の司令塔に」と「二重庁舎」に固執しています。

 くりはら候補は「これほどの税金の無駄遣いを放置して何が『二重行政の解消』か」と批判。中小企業支援や府民のための施策はカットし続けながら「大阪都」構想に37億円もかけたとし、「こんな維新の政治は終わらせねばなりません。勝たせてください」と訴えています。


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