2015年11月12日(木)
きょうの潮流
「なんとか自立したいが、自分に自信がもてない」。非正規で身も心もぼろぼろになるまで働き、最近その職場を辞めた20代の青年に話を聞く機会がありました▼朝早くから夜遅くまで安い賃金で働きづめ。社会保険にも入れてもらえず、失業手当も出ない。次は正社員としてまっとうに働きたいが、ハローワークの紹介先では採用されず、あとは同じようなブラックな仕事だけ。どうやって生きていけばいいのか…▼厚労省の調査で非正規社員の割合が初めて4割に達しました。増え続ける不安定な雇用。少し前の『週刊東洋経済』が刺激的な見出しの特集を組んでいました。「絶望の非正規」。企業が“調整弁”として都合よく使ってきたツケは社会全体に跳ね返っている、と▼非正規の海を漂流する残酷な現実。中年フリーター層の増加や心が病んでいく若者。マタハラや妊娠解雇で職場を追われる女性たち。見過ごせない数々の実態が働き手を守る仕組みがすぐに必要なことを訴えています▼ところが安倍政権は非正規雇用をさらにひろげ、次々と働く者の権利を奪おうとしています。改悪された労働者派遣法を取り上げたNHK「クローズアップ現代」も“生涯ハケン”に道を開いた不安を描きました▼技術力のアップに励みながら解雇された青年は「ただの捨て駒扱いだった」。過去最高益の企業が相次ぐなかで苦しみもがく労働者。日常の生活が人間を壊していく社会から、人間らしく働き生きられる社会に。手を携え反撃するときです。