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2015年11月11日(水)

法治主義より新基地優先

赤嶺議員 辺野古強行 露骨姿勢を批判

衆院予算委

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 日本共産党の赤嶺政賢議員は10日の衆院予算委員会で、法制度の乱用や地元への振興費バラマキなど、なりふり構わず沖縄・辺野古で米軍新基地建設を強行する安倍政権を追及しました。安倍晋三首相は、一連の政府の法的措置が「一刻も早く移設事業を再開するため」だとし、法治主義よりも新基地建設を優先する露骨な姿勢を浮き彫りにしました。


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(写真)質問する赤嶺政賢議員(左端)=10日、衆院予算委

行政不服審査を悪用

取り消し停止撤回を

 沖縄県の翁長雄志知事が新基地建設に必要な埋め立て承認を取り消した(10月13日)ことに対抗し、防衛省は行政不服審査制度を悪用して、同じ国の機関である国土交通省へ申し立てることで取り消しの効力を停止させました(同27日)。

 赤嶺氏は、そもそも同制度が、裁判を経ずとも国や自治体の不当処分から国民の権利利益の救済を図ることを目的としたものだと指摘。国が新基地建設事業で同制度の申し立てを行う資格はないと迫りました。

 中谷元・防衛相は、審査基準の点で「沖縄防衛局は一般私人と同様の立場」だと強弁。赤嶺氏は、防衛局が埋め立て申請書で「安保体制の確保は、政府の最も重要な施策の一つ」として事業を推進していることをあげ、「申請自体を国としての立場で行ったことは明らかだ」と批判しました。

 さらに赤嶺氏は、国交省自身が公有水面埋立法上、国の場合は「承認」、一般事業者(私人)の場合は「免許」と、法律上の規定・性格が両者で異なると説明してきたことを追及。石井啓一国交相は「(国と事業者で)適用条文が異なっているにすぎない」と述べ、「承認」と「免許」を文言上の違いだと主張しました。

 赤嶺氏は、住民が埋め立て承認の取り消しを求めた訴訟の場で、国側の担当者も仲井真弘多・前知事による承認を「そもそも行政処分に当たらない」と主張していたことも指摘し、「その時々で都合よく立場を変え、怒りを禁じえない」と糾弾しました。

 安倍政権は一方、翁長知事の取り消し効力を停止した同日に、国の立場から沖縄県の事務に介入する「代執行」に向けた手続きに着手しました。

 安倍晋三首相は「一刻も早く移設事業を再開するため、迅速な手続きである」行政不服審査制度を使ったと答弁。「代執行」についても、「最終的に司法の判断を得ることができ、より適切な手段と判断した」と法廷闘争による決着を急ぐ姿勢を示しました。

 赤嶺氏は、政府のやり方に行政法研究者93人から「じつに不公正で、法治国家にもとる」との声明が出ていることも示し、「同じ政府内での申し立て・決定で、公正・中立な判断ができるはずはない」と強調。効力停止の撤回と、工事の中止を求めました。

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(写真)新基地建設が狙われる辺野古・大浦湾=沖縄県

環境監視委員が業者から寄付

承認の前提が崩壊

 新基地建設に関して、政府に環境保全対策などの指導・助言を行うために設置された「環境監視等委員会」。前知事の埋め立て承認の留意事項に盛り込まれ、発足した組織です。同委員会の委員が、新基地建設の受注業者から寄付や報酬を受けていたことが明らかになり、大問題となっています。

 赤嶺氏は「環境監視等委員会は、埋め立て承認の前提条件であり、核心部分だ。公平性・中立性が疑われており、埋め立て承認の前提が崩壊している」と厳しく批判しました。

 赤嶺氏が告発したのは、委員3人が受注業者から計1100万円の寄付金を受け、別の1人は年間200万円の報酬を得ていた問題。中谷元・防衛相は「産学連携の一環だ」と開き直り、受注業者からの寄付金廃止も明言しませんでした。

 赤嶺氏は、「公平性、中立性を保つというならば、防衛省として寄付金をやめさせるべきだ」と追及しました。

「久辺3区」に補助金

地方自治投げ捨て

 政府は、辺野古周辺3区(辺野古、久志、豊原=通称「久辺3区」)に対し、新基地に反対する名護市の頭越しに補助金を交付しようとしています。米軍新基地建設に向けて憲法と地方自治を投げ捨てなりふり構わぬ姿勢を示す政府の姿勢を浮き彫りにしています。

 久辺3区への直接補助金を交付する根拠をただした赤嶺氏に、菅義偉官房長官は、「抗議行動の騒音が地域住民の安眠を妨害していることや違法駐車への対応だ」と事実をねじ曲げて暴言。補助金を正当化しました。

 赤嶺氏は「夜間が騒がしいのは、夜間に(工事用の)資材を運びこむからだ。どうして県民にこんな悪態をつくのか」と抗議。「騒音が騒がしいというのであれば、17年間にわたって解決に向けて指一本もふれていない廃弾処理場の撤去にこそ手を付けるべきだ」と厳しく批判しました。

 「一般論として法律によらない予算措置による補助金の交付や地方公共団体以外のものを対象とする補助金の交付は認められている」「地元から要望を受けており、最も影響を受けるところに配慮するのは当然だ」と繰り返し、開き直る菅氏。

 赤嶺氏が、とりざたされる事案の内容が、防災備蓄倉庫やあずまやの整備、芝刈機の購入などであることを指摘すると、委員会室から驚きと失笑が漏れました。

 赤嶺氏は、「芝刈機が基地建設の代償として直接補助金の対象になるのか。法治国家にもとる行為はただちにやめるべきだ」と追及しました。


県民の立場にたった質問

視聴者から反響

 衆院予算委員会で10日に行われた日本共産党の赤嶺政賢議員の質問。国会中継を視聴していた人から党本部には「歯切れよく、鋭い質問でよかった」などの声が電話で寄せられました。

 新潟県の女性は、菅義偉官房長官が、新基地建設に抗議する住民を「うるさい」と言ったことについて「腹が立つ。原因は誰がつくったんだいと言いたい。赤嶺さんは、国民、沖縄県民の立場にたっての質問だった」と話しました。

 「(沖縄米軍新基地建設予定地の)周辺3地区にだけ補助金を出すというように、おカネで沖縄県民を分断する。ひどい」(東京・女性)、「答弁する政府は、沖縄県民をばかにしている。本当に許せない」(盛岡市・女性)など、政府を批判する電話も相次ぎました。

 また、赤嶺氏の質問中に国会中継が打ち切られたことについて「あと3分くらいだ。最後まで中継すべきだ」など、NHKに抗議する声も多数寄せられました。


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