2015年11月10日(火)
きょうの潮流
“世を乱し、民をたぶらかしただけではないか”。前の大阪市長、平松邦夫さんが最近出した本のなかで橋下府政、市政の8年をそう断じています(『さらば!虚飾のトリックスター』)▼2008年の大阪府知事選で橋下徹氏が当選してから、「維新」政治は何をやってきたのか。「ミサイル男になってやろうと。毎日、ケンカをふっかけた」。橋下氏自身が大騒ぎの8年だったというように不毛な対立と分断の日々▼経済を冷え込ませ、くらしや福祉の支えを削り、教育に介入して混乱を持ち込む。職員の思想調査までやる異常さは「ハシズム」と呼ばれました。彼らのいう維新とは、大阪の自治と共同、民主主義を乱暴に破壊することでした▼大阪の未来がかかる府知事、市長のダブル選挙が始まっています。一人ひとりが主役の大阪市政に―。8日の市長選第一声。オール大阪の柳本あきら候補は、独裁者に大阪を任せるわけにはいかない、対立から協調へ、と訴えました▼維新政治を終わらせたいと立ち上がった若者は「自己責任と強い者しか生きられないという、こんな考え方の政治家に大阪を任せていられるか」。いままで国会前で民主主義が叫ばれてきたが、今度はここ大阪で声をあげる番だと▼秋の夜空に浮かび上がる大阪城の天守閣。今年は豊臣家が滅んだ大坂の陣から400年。戦乱で荒廃した街を発展させたのは町人の力でした。古都に根づく自治の精神と住民同士のつながり。独裁政治から主役をとりもどすたたかいです。