2015年11月7日(土)
BPO 自民の放送圧力批判
NHK番組 重大倫理違反
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会(川端和治委員長)は6日、昨年5月に放送したNHK報道番組「クローズアップ現代」などでの「出家詐欺」事件の報道について、「重大な放送倫理違反があった」とする意見を公表しました。
番組で問題となったのは、出家詐欺をあっせんする「ブローカー」の活動拠点とするビルの一室に、多重債務者の男性が相談に訪れる約3分間の場面。同委の調べで、2人は10年来の知り合いで、周知の間柄だと判明しました。ビルの部屋も多重債務者側が用意したものでした。
意見書は、情報提供者に依存した安易な取材や、許容の範囲を逸脱した撮影方法があったと指摘。「事実をわい曲してはならない」などと規定したNHKの「放送ガイドライン」にことごとく反し、「重大な放送倫理違反があった」と結論付けました。また、NHKが今年の4月に「やらせはなかった」とした報告書は「放送倫理の観点からの検証が不十分」と述べました。
一方、「クロ現」問題で総務大臣が出した「厳重注意」や、自民党がNHK幹部を呼びだした事態に対しては、「放送法が保障する『自律』を侵害する行為」「政権与党による圧力そのもの」だと厳しく批判しました。
川端委員長は記者会見で、「放送法の規定は政府が放送局の自律を保障するもので、総務省の行政指導は問題。政権党(による呼びだし)は法律上の根拠は何もなく、圧力をかけるのは不適切」と述べました。