2015年11月6日(金)
不登校への支援 超党派「法案」の経過 (上)
居場所に財政援助を
ネットワーク広げて
不登校――子どもは自分を責め、親も悩みます。不登校の子どもへの支援について、超党派議連で検討していた「多様な教育機会確保法案」の経過もふくめ、藤森毅・日本共産党文教委員会責任者にききました。
子どものSOS
――不登校を共産党はどうとらえていますか?
藤森 不登校は病気でも怠けでも罪悪でもない、子どもが発しているSOSだと強く思います。
その様相はさまざまですが、大事なことは、子どもが何らかの支援を必要としているという事実です。それは「ゆっくり休むこと」だったり、「関わってくれる、おとなの存在」だったり、場合によっては「さまざまな暴力からの解放」だったり等々です。
支援は「学校が絶対」では成り立ちません。その子の人権、その子が必要としている支援がまずあって、それに役立つ多様な場をおとな社会が保障するのが筋です。
昨年度の不登校数は小学生約2万6千人(全児童の0・39%)、中学生約9万7千人(全生徒の2・76%)で、1980年代から急増し、高止まりです(グラフ)。これだけ増えているのは、教育や社会の側に相当問題があるからで、その改革の視点を失ってはならないと思います。
――当面の施策で重要なことは?
藤森 何より、今困っている子ども、親からみて相談するにたる相談窓口、安心しながら成長できる場を広げることです。長年の課題ですが本当に「これだ」という場が少ないのが現状です。
今現在、そういう役割を果たしている多様な場を認知して、財政的支援を行うことが急がれると思います。
その一つにフリースクールがありますが、助成制度がなく学費は年間数十万円で、スタッフの3割が無給など関係者の熱意でぎりぎりの所で支えられているのが現状です。親としての悩みを語り合って子育てを支え合っている「親の会」にも、公的支援がほとんどありません。
例えば賃貸料だけでも保障すればどれほど相談・支援の場が広がるかと思います。
公的には「適応指導教室」を学校復帰にこだわらずに専門家も配置して整備したり、夜間中学など従来の型にとらわれない学校をつくったり、中学卒業以降の支援、貧困との関係やアウトリーチ(訪問)なども課題です。
地域で市民団体、教育や福祉の公的機関がネットワークをつくって支援を広げていければと思います。
通常国会の経過
――超党派「法案」の経過について伺います。
藤森 直接の始まりは今年5月27日、夜間中学拡充議連(共産党も参加)とフリースクール議連の合同総会が開かれ、その場で馳浩座長(自民党、現文科相)の私案が示されたことです。夜間中学の推進、不登校への対応が主な柱でした。
その後、幾度か会合がもたれ、不登校に関して重要な部分で意見の違いがあるのに座長が無理にまとめました。その座長案を各党が持ち帰って9月15日に合同総会が開かれましたが、自民党内でも意見がまとまらず、共産党をふくむ各党も懸念を表明し、馳座長は通常国会での成立を断念するとしました。いろいろな意味で残念な経過でした。
(つづく)
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