2015年11月5日(木)
もんじゅ 廃炉しかない
機構 くり返し違反行為
税金投入1兆円、運転実績ゼロ
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原子力規制委員会が4日の定例会合で、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の運営主体として“不適格”と判断した日本原子力研究開発機構。2013年5月に1万件近い機器の点検漏れが発覚し、規制委から運転再開作業の停止を命じられて以降も、同機構の違反行為が繰り返され、「極めて異常な状態」(規制委)でした。運転を任せないとしたのは当然です。
しかも、規制委でも指摘されたように、こうした安全軽視の体質は、1995年のナトリウム漏れ・火災・爆発事故以来、「問題が根深く存在している」とされているものです。
「もんじゅ」は、原発の使用済み核燃料から再処理で取り出した、毒性の強いプルトニウムを燃料に使い、使用した以上の燃料を生み出すとして「夢の原子炉」という触れ込みで政府が開発を進めてきました。政府が推進する、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを使うという「核燃料サイクル」の柱に位置づけられています。
一般の原発と違い、水や空気にふれると爆発的に反応する液体の金属ナトリウムで原子炉を冷却するため、特別に大きな危険があります。実際、1994年に初臨界に達しましたが、1995年に配管からナトリウムが漏れる火災・爆発事故が発生し、14年以上停止。2010年5月に運転を再開したものの、トラブルが続き、同8月には重さ3・3トンの核燃料交換装置が落下する事故が起き、再び運転できない状態になりました。運転開始から20年以上たちますが、事実上運転実績はありません。しかし、「もんじゅ」建設などにこれまで投じられた税金は1兆円規模に上り、現在も毎年200億円近く計上されています。
国はただちに廃炉を決断すべきです。
(「原発」取材班)