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2015年11月5日(木)

きょうの潮流

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 被爆70年。被爆者の平均年齢が80歳を超えるなか、被爆体験を次世代に継承する動きが進んでいます。「ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会」の取り組みも、その一つです▼あの日、原子雲の下でなにがあったのか。直接体験していない世代が継承するうえで、なにが大切か。「想像する力と、創造する力だ」。こう語るのは、同会の代表委員を務める岩佐幹三(みきそう)さん。広島で被爆し、86歳となる今も被団協の代表委員の一人として活躍中です▼もともと被爆者はいなかった。普通の人間が、戦争による原爆によって被爆者という“運命”を背負ってしまった。安倍政権による「戦争する国づくり」の“戦争”は核兵器の使用も想像され、世界のだれでも被爆者にされうる▼「16歳の軍国少年」の“運命”は苛烈です。自宅庭で後頭部をバットで殴られたような衝撃で地面に叩(たた)きつけられた、あの日。つぶれた屋根の下敷きになり血を流す母を見つけました。火の手がせまり、気が動転する少年に、母はいいました。「早(はよ)う逃げんさい」▼数日後、家の焼け跡で脂ぎった黒い物体を見つけました。母は人間としてでなく、モノとして殺された。母の表情を忘れられず、仲間と“再び被爆者をつくるな。戦争するな、核兵器なくせ”と運動をはじめました▼「継承すべきはこの被爆者運動の心だ」と岩佐さん。国民の力で“戦争するな、核兵器なくせ”の願いに応える政府に転換させられたなら、母や亡くなった仲間はむだ死にではない、と結びました。


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