2015年11月3日(火)
沖縄県、係争委に申し出
辺野古 国に対抗 知事「県民の決意示す」
沖縄県は2日、名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立て承認取り消しについて石井啓一国土交通相が効力停止を決定したことを不服として、総務省の第三者機関である国地方係争処理委員会へ審査を申し出ました。係争委は90日以内に申し出を審査し、結果を公表します。翁長雄志(おながたけし)知事は同日の県庁での記者会見で、「中立公正な審査をお願いしたい」と訴え、「今後も新基地を造らせないという公約の実現に向け全力で取り組む」と決意を改めて表明しました。
申出書は、辺野古新基地建設推進という内閣の方針の下、防衛省沖縄防衛局が自らを「一事業者」と称して行った申し立てに対して、「同じ内閣の構成員たる国交相が、内閣の方針実現の目的で行った違法な決定」だと指摘。係争委へ効力停止の決定を是正させるよう求めています。
知事は係争委への申し出の意義について、「沖縄県の決意を広く国民や世界に示したい。一つひとつ丁寧に、決然と県民の意志を示さないと、日本の民主主義に重大な禍根を残す」と力説しました。
ただ、地方自治法は不服申し立てに対する決定を係争委の審査対象外としており、係争委はこれを理由に県の申し出を審査せず却下する可能性があります。沖縄県は却下された場合、承認取り消しの効力回復を求めて高裁へ提訴する方針です。
地方自治体から係争委への審査申し出は3例目となります。(要旨)
国地方係争処理委員会 地方自治体に対する国の介入(関与)をめぐる争いを処理することを目的に総務省に設置されている第三者機関。委員は5人で、委員長は小早川光郎成蹊大学法科大学院教授。地方自治体からの審査の申し出にもとづき、委員会は90日以内に国の関与が不当と認める場合は、勧告などの措置をとります。