2015年11月2日(月)

「オール大阪」共同広がる

「まっとうな政治　取り戻す」

　橋下徹大阪市長率いる「おおさか維新の会」の拠点、大阪の府知事選と市長選（２２日投票）が目前です。栗原貴子知事予定候補と柳本顕（あきら）市長予定候補の勝利で、「庶民のまちを破壊し尽くす維新政治を退場させ、まっとうな政治を取り戻そう」と、「オール大阪」の共同が発展しています。（名越正治）

（写真）宣伝に出る西淀川連絡会の人たち＝10月28日、大阪市西淀川区

　「大阪市をつぶしたらあかんと、住民投票で市民と一緒にえろう頑張ったのは共産党やないか。あちこちでそういうてる」。こう話すのは、同市大正区で自民党区支部長を務める舟戸良裕（ふなとよしひろ）元市議会議長（６６）です。

　大阪市を解体する「大阪都」構想の賛否を問う５月の住民投票では、共産、社民など各党とともに合同で街頭演説に立ちました。いっせい地方選直後の立場の違いを超えた行動に共感が広がり、「私もやらせてほしい」と初めてビラを配布する市民が相次ぎました。

　安倍晋三首相の父、故安倍晋太郎自民党幹事長と握手する写真が飾ってある舟戸氏の事務所。

（写真）舟戸良裕元大阪市議会議長

　「若いときに、党の研修会でたたき込まれたのは、人の意見をよう聞くようにということやった。いろんな考えに耳を傾けて、議論が深まる。人の意見を全然聞かへん橋下市長とはちゃう（違う）」

　橋下氏らが市長・知事選にうって出た前回ダブル選から４年。維新政治によって、大阪は経済も雇用も全国以上に落ち込み、府の借金残高は６兆４１３６億円（見込み）に増えました。

　「私ら商売人は、まったく評価できませんな」。ある区商店会連盟会長はいいます。

　「中小企業は地域とつながり、連帯のネットワークをサポートしています。明治維新で大阪を沈没させないと大阪商工会議所をつくった五代友厚とはえらい違いです。橋下さんは、大阪に住んで商売をしている私らの気持ちはわからん。維新は維新でも世の中を暗くする悪い維新や」

　「大阪市民はぜいたく」といって、敬老パス有料化や、黒字の国民健康保険料連続値上げなど、住民サービスを次々切り捨ててきたやり方にも、怒りが広がっています。

　７０代の、ある社会福祉協議会会長は「いま、橋下市長が維新の党の国会議員をののしっているのと同じように、地域活動をささやかにとりくんでいる社協や町会、老人会を街頭で悪者の集まりといわれました」と憤ります。４年前の選挙で、橋下氏から「既得権益に群がる補助金団体」とレッテルを貼られ、攻撃されました。

　「自分に従わん者は許さんという独裁者やからです。そのくせ、私らが払った税金の政党助成金をぶんどろうと、『こっちが通帳とはんこを持ってる』とカネの奪い合いをしてはる。品格に欠けるトップは大阪の恥。退場させなあきません」

　一方、「維新政治ノー」と地域の連携や共同が広がりました。

　ある各種団体の会合で、「市長が代われば市政が変わる」と市の幹部が発言し、「びっくりしたで」と話題が広がっています。

　橋下市長の切り捨て政策に、市民の運動で対抗した地域の自民党市議は「住民投票で市民や共産党と一緒にやってきたけど、ダブル選挙でも勝手連的に支援してくれるのはありがたい。独裁者が支配を続けたら、福祉も医療もいま以上に破壊される」と話します。

（写真）住民投票反対へ合同で街頭演説した地域の共産、自民、社民各党の代表＝５月１０日、大阪市大正区

　ある自民党議員の後援会長（６８）はいいます。「共産党さんにうちの栗原（知事候補）と顕（市長候補）を応援してもらえるのは、ほんま心強い。共産党をだんだん好きになってきそうですな。団結して維新政治を終わらせましょ」

　西淀川区では１０月２９日、大阪市をよくする会西淀川連絡会が事務所を開設し、選挙に勝利しようと意気込んでいます。「さようなら維新政治」の大看板もとりつけました。

　１０月１７日に開いた決起集会には、地域の多彩な人たちが参加しました。会場から手をあげてマイクを握った元連合町会長の男性。「ここにいるみんなが心ひとつに力を合わせて、維新政治にさよならしましょう」と声を強めると、歓声と拍手につつまれました。

　地域でとりくんでいる対話でも、住民投票に賛成票を投じたという青年（２７）が「否決された都構想をまた持ち出すのはだめ」と柳本、栗原両候補への支持を約束しました。

　同連絡会の坂本和之事務局長（３２）は力を込めます。「知事時代を含めて維新政治の８年は、市民・府民にとって百害あって一利なしでした。進めてきた市民・府民の共同もハンパやありません。これまで築いてきた共同を広げに広げ、『異質な危険』の維新政治を必ず打ち破ります」