2015年11月1日(日)
きょうの潮流
たくさんの芸能人から戦争法反対の声が上がりました。国会前行動に参加したり、ツイッターで発信したりとさまざまな形で広がりました。それに対してバッシングが起きています。由々しき事態です▼「平和な日本を続けていきたい」と本紙のインタビューにも応じた石田純一さんは、週刊誌によると「番組やCMをキャンセルされた」といいます。広告代理店すじから“今後、政治的発言をするな”と厳重注意もされました▼多くの場合、当事者は口をつぐんでしまいます。「紅白歌合戦」で政治性のある歌を披露したサザンオールスターズしかり、「NHKで政治家ネタが没になった」と明かした爆笑問題しかりです▼テレビ局やスポンサーが求める芸能人のさしさわりのないおしゃべり。政治や社会問題への発言はタブーなのでしょうか。もの言えぬ空気が強まっているのが気になります▼芸能人の自粛とは逆に、圧力を公言した勢力が大手を振っています。安保国会のさなか、自民党の勉強会で「マスコミを懲らしめるにはCM収入がなくなるのがいちばんだ」とした発言が批判され、勉強会の責任者は役職停止1年に。ところが国会が閉会したとたん、あっさりと3カ月に軽減され処分は失効▼音楽評論家の湯川れい子さんは、芸能人らが意思表示をするのが難しいことに触れ、観客の意識も変わってほしいと願っています。演じ手・歌い手とファンが芸能を通して対話をし、社会や人間について深く考えていくことができるはずです。