2015年10月31日(土)
厚労省 「解雇の金銭解決」検討開始
労働者側 規制強化こそ必要
安倍内閣が導入をねらう「解雇の金銭解決制度」について、厚労省の検討会で29日、議論が始まりました。
同制度は、裁判で不当解雇となっても、会社が金を払えば復職させずにすむ制度で、解雇規制を骨抜きにするものです。
検討会には労使の代表のほか、規制改革会議で労働法制の改悪を求めてきた学者らが参加。事務局にも、規制緩和を推進する内閣官房・内閣府が加わり、規制緩和圧力を強める布陣となっています。
検討会では冒頭、金銭解決制度が安倍内閣の成長戦略や規制改革会議の答申に盛り込まれたことが報告され、同会議のメンバーが「紛争解決の選択肢を多様化すべきだ」(鶴光太郎慶応大教授)、「解雇無効判決が出ても、和解による金銭補償となっている」(八代尚宏昭和女子大特命教授)と導入を求めました。
経団連や経済同友会も「グローバル化、少子高齢化に立ち向かうために改革が必要」(岡野貞彦同友会常務理事)として導入を求めました。
労働側は、「すでに訴訟、労働審判、あっせん、調停などさまざまな制度がある。その現状認識をつくることが必要だ」(村上陽子連合総合労働局長)と述べ、現行制度の活用・拡充について検討していくべきだと主張。
また、「ルールを無視して解雇する経営者をいかに規制するかを考えるべきだ」(高村豊連合東京アドバイザー)、「裁判に勝っても就労請求権がないため職場に戻れず、あきらめて金銭解決せざるをえないのが実態だ」(水口洋介弁護士)と述べ、解雇を規制し、労働者の権利確立こそ必要だと求めました。