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2015年10月30日(金)

主張

消費税「軽減税率」

増税の「偽装」のためはご免だ

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 自民党と公明党が与党の税制協議会で、2017年4月からの消費税の税率10%引き上げにあたって、一部の品目の税率を低くする「軽減税率」の検討を再開しています。「軽減」といっても現在と同じ8%を続けるだけで、税率を引き下げたり、非課税にしたりするわけではありません。軽減税率を導入すれば増税による税収が減るため、自民党は対象を限定することも強く求めています。自民・公明が軽減税率の協議を続けるのは、消費税増税への国民の批判が強いからです。増税を「偽装」するための対策を持ち出すぐらいなら、増税自体を中止すべきです。

増税と抱き合わせで公約

 消費税の増税にあたって軽減税率を導入するという対策は、増税法案が国会で審議されているときから、議論になってきたものです。自民・公明両党が政権に復帰した後、14年4月から強行した消費税率の8%への引き上げでは間に合いませんでしたが、昨年秋、15年10月から予定していた10%への引き上げを17年4月に延期したさい、改めてそれまでには間に合わすと約束しました。昨年末の総選挙では公明党が「いまこそ、軽減税率実現へ。」のポスターをはりだしたように、軽減税率導入は増税と一体となった自公両党の公約です。

 軽減税率導入と一口でいっても、一部の品目の税率を低くする複数税率導入は、対象をどうするのか、課税の手続きはどうするのかなど制度が複雑で、麻生太郎財務相も「面倒くさい」というほどです。自公両党は今年5月、対象をそれぞれ「精米」「生鮮食品」「酒類を除く飲食料品」とする案をまとめましたが合意できませんでした。

 そこでこの秋になって自民党の一部と財務省が、対象を「酒類を除く飲食料品」とし、いったん消費税10%分を含む代金を払い、来年から導入されるマイナンバーカードで記録し2%分を後で給付するという案を持ち出したものの、公明党などが公約違反になると反発して取りやめになりました。内閣改造などで自民税調の体制を一新し、改めて軽減税率導入のため再開されたのが今回の協議です。

 27日から再開された与党協議では、17年4月からの消費税増税と同時に複数税率の形で軽減税率を導入することは再確認しました。消費税額などを書き込んだ「インボイス」発行を義務付ける方式は先送りし、当面は「簡素な経理方式」にするといいます。対象は幅広い品目を主張する公明党と対象を限定したい自民党が一致していません。必要となる財源についても合意できていません。11月中旬までに大筋合意するといいますが、協議は難航が必至です。

負担増埋め合わせられぬ

 軽減税率導入の一番の問題は、原則としてあらゆる商品やサービスに課税される消費税を増税しながら、食料品など一部の品目を据え置くだけでは軽減の効果が限られ、負担増の埋め合わせにはならないことです。効果を大きくしようと対象を広げれば税収が減り、新たな財源も必要になります。負担を軽くするためには生活必需品を非課税にするなどの方法もありますが、自公は採用しません。

 消費税増税は国民の負担を増やし暮らしも経済も破壊します。軽減税率などとごまかさず消費税増税は中止し、消費税に頼らない道に切り替えることこそ重要です。


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