2015年10月26日(月)
NHK「日曜討論」 小池政策委員長の発言
日本共産党の小池晃政策委員長は25日のNHK番組「日曜討論」で、環太平洋連携協定(TPP)の「大筋合意」や沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設などについて各党の政策責任者と議論しました。
TPP「大筋合意」
重要5項目含む関税撤廃は明らかに国会決議違反
TPPの「大筋合意」について、自民党の小野寺五典政調会長代理は「日本政府はかなり交渉でがんばった。消費者にとって物が安くなる。企業もどんどん輸出できる」と説明。公明党の石田祝稔政調会長も「よく頑張った」と評価し、他党は「高いレベルでの自由貿易という点では前向きに受け止めている」(民主・細野豪志政調会長)、「率直に評価」(維新・井坂信彦政調会長)などと語りました。小池氏は次のように批判しました。
小池 重要5項目(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)を含めた関税撤廃は、明らかに国会決議違反です。農業を犠牲にして日本の経済主権をアメリカ、多国籍企業に売り渡すものです。アメリカの次期大統領候補、カナダの新政権から疑問の声が上がっています。やはり多国籍企業のためにそれぞれの国の雇用や仕事を奪う、これでは暮らしや経済は冷え込むから、こういう声が上がっていると思います。自動車(の関税率)は25年から30年、据え置きです。日本自動車工業会会長も「輸出にインパクト(影響)があるとは思わない」と言っており、これは譲歩に譲歩を重ね、日本にとっていいことはほとんど何もない結果になっています。「大筋合意」といいますが、決着したわけではありません。これから協定文書の作成、調印、各国の批准、国会承認があり、私たちは、まずこの協定書の作成作業から撤退し、調印は中止すべきだと訴えたい。
輸入自由化路線から決別しTPPから撤退すべきだ
国会決議をめぐっては、合意や自由化そのものには賛意を示した民主や維新からも「国会決議違反は明らかだ」などの批判が相次ぎました。小野寺氏は「国会決議を守っていなければ賛成できないこともある。政府に(農業)政策を強く求める」などと弁明。小池氏はTPPからの撤退を求めました。
小池 重要5項目は「聖域」だと言ったが、聖域とは指一本触れないということです。ところが(5項目の)30%が関税撤廃となり、国会決議は、「10年かけた段階的な関税撤廃も認めない」としていたわけですから、これはどう説明しても国会決議違反です。小野寺さんの地元、JA宮城中央会の石川壽一(ひさいち)会長も「国会決議を反故にしたものであり断じて容認できない」とおっしゃっています。東大大学院教授の鈴木宣弘さんは、農産物の損失が1兆1千億円にのぼると試算しており、これは本当に大変なことになる。農業予算で(対策)というけれど、(1986年に始まった貿易交渉)GATTウルグアイラウンドのときも6兆円をばらまいたけれど、結局、(食料)自給率は下がり続け、今は39%です。食料主権というのは、やはり国の根幹だと思います。「国を守る」と言いながら、なぜこういう大事なところで譲ってしまうのか。国民の主食を自国で作っていくことは国の根幹です。輸入自由化路線から決別し、TPPから撤退すべきだと思います。
辺野古新基地問題
沖縄の民意は揺るがない 翁長知事の決断を断固支持
次に沖縄県・辺野古新基地がテーマとなりました。翁長雄志沖縄県知事が前知事による公有水面埋め立て承認を取り消したことをめぐり、与党は新基地は「普天間の危険性除去のためだ」などと建設強行に突き進む姿勢を示しました。野党からは、新基地を容認しつつ昨年の名護市長選や沖縄県知事選を踏まえ「民意は(建設)反対だ」(維新)との認識も示される中、小池氏は次のような見解を表明しました。
小池 (反対の)民意は明白です。沖縄では79%が埋め立て承認取り消しを支持していますが、本土の世論調査でも(支持が)5割を超えています。翁長知事の決断はこの民意に応えるもので、我々は断固として支持します。(承認取り消しについて)防衛局が国土交通大臣に不服審査請求することを、翁長知事は法の趣旨を逸脱していると言っていますが、本当にその通りです。これは「一人芝居」以外の何ものでもない。先ほどから(辺野古が)唯一の選択肢だという話がありますが、それを言い続けていたら解決は絶対できません。沖縄の民意は絶対に新基地建設を認めないという点で揺るぎないものがあります。新基地建設は断念し、基地の県内たらい回しはやめて、普天間基地の無条件撤去を、本腰を入れてアメリカと交渉するべきです。それこそ唯一の選択肢、解決策です。
世界一危険な普天間基地 無条件撤去が解決への道
司会者が辺野古が駄目なら、「移設先」は本土か海外かと質問したのに対し、小池氏は無条件撤去を訴えました。
小池 本土も含めて基地のたらい回しはもうありえない。撤去するべきです。原点を考えてほしい。(普天間基地は)住民を収容所に入れている間に土地を強奪してつくられました。それが60年たって「世界で一番危険な基地」になったから代わりを差し出せというのは、理不尽な話ではないかと翁長知事は言っています。翁長知事は安保体制を支持する立場です。でも、これ以上の苦しみを沖縄に押し付けることは許されないと言っているわけです。先ほどから「負担軽減」というけれど、私は先週、沖縄に行きました。岩国に移したという空中給油機KC130が私の目の前で普天間基地に着陸しました。現地の人たちは「負担軽減」という言葉に怒っています。辺野古に新基地をつくり、さらに東村高江にオスプレイの着陸するパッド(離着陸場)をつくる。何が負担軽減なんだという声が上がっています。この声に正面から応えるとすれば、無条件撤去しか解決の道はありません。
「面積3分の1に」はウソ 耐用年数200年の巨大基地に
小野寺氏は、辺野古への「移設」によって「面積は(普天間に比べ)3分の1になる」などと述べ、「小池さんは、自衛隊は違憲で、米軍は日本から出て行けと(言っている)」と小池氏の発言をねじ曲げました。公明党の石田氏も「共産党の綱領に日米安保(廃棄)、自衛隊(違憲)のことが書いてある」と発言しました。小池氏は次のように反論しました。
小池 私たちは、日米安保条約は廃棄すべきだと言っています。しかし今、沖縄県民があげているのは、安保条約廃棄の声ではなく、なぜ普天間の代わりに新しい基地を受け入れなければいけないのかという声です。(面積が)3分の1になるというのはウソです。米軍キャンプ・シュワブとあわせれば、今の普天間の5倍の規模になります。耐用年数は200年です。オスプレイも100機配備すると、森本敏元防衛相は言っています。巨大な新基地をつくることになります。
臨時国会の開会
TPP、戦争法――与党には国民への説明責任が
戦争法やTPPなど課題が山積している中で、共産、民主、維新、社民などの野党が憲法53条に基づき臨時国会の開会を要求したのに対し、小野寺氏は「どういうもの(議題)が必要か今精査している段階で検討中だ」とあいまいな態度に終始しました。小池氏は次のように開会を強く求めました。
小池 先ほど小野寺さんは必要があるかどうか見極めてと言ったが、必要があるに決まっている。TPPは秘密交渉でこれだけ問題になった。これを議論しないでどうするんですか。戦争法強行のためには戦後最長の延長をしながら、都合が悪くなってくると議論から逃げるのは、民主主義のルールを守らないと言わざるを得ない。丁寧に説明するというのであれば、臨時国会で丁寧に説明すべきです。それをやるのが政府であり、与党の責任だと申し上げたい。ただちに臨時国会を開くべきです。
「戦争法廃止の国民連合政府」構想
国民の声にこたえるため 野党は力をあわせるとき
話題は、野党連携のあり方に移り、日本共産党の志位和夫委員長が提唱している「戦争法廃止の国民連合政府」構想が取り上げられました。小池氏は次のように語りました。
小池 いま、意見の違いは脇において、安倍政権を倒すために野党は力をあわせるときだと思っています。そのために、ぜひ選挙の協力もしようじゃないかと訴えたいと思います。それが国民の今の声にこたえる野党の責任だと思っていますので、ぜひ(野党各党には)前向きに検討していただきたい。しっかり受け止めていただいていると、われわれは認識していますが、ぜひ前に進めたい。
これに対して、公明党の石田氏が「(共産党は)自衛隊は違憲、日米安保廃棄と言っていた。それを脇において選挙で一緒にやりましょうというのはおかしい」と攻撃。小池氏は「立憲主義、憲法を守らない政権を倒すためには、緊急課題で団結するのは政党の責任だ」と反論しました。