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2015年10月26日(月)

閣僚からTPP参加論 タイ 反対続出

“米中の競合激化でASEANに悪影響”

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 環太平洋連携協定(TPP)への参加論が経済閣僚から相次いでいるタイで、反対論が続出しています。主な理由の一つは、東アジアでの米国と中国の影響力争いが激化し、東南アジア諸国連合(ASEAN)共同体発足などの地域協力に悪影響を与えるというものです。プラユット暫定首相は23日、「慎重な検討」を各省庁に指示しました。

 タイはインラック前政権時も昨年のクーデター後も、一貫してTPPに参加しない方針を取ってきました。ところがソムキット副首相(経済担当)とアピラディ商業相が先月から、TPP参加に前向きな姿勢を相次いで表明し始めました。

 バンコク・ポスト紙によると、TPP参加の是非を論議した20日の閣議でプラユット氏は、米国によるTPP推進に刺激された中国が「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」の協議を加速させようとするだろうと指摘。米中の競合が激しくなるとの展望を示しました。

 RCEPはASEAN10カ国と中国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの計16カ国による経済協力の枠組み。ASEANが経済面での東アジア地域協力の枠組みとして重視しており、2013年5月から交渉が続いています。

 TPPにはタイを含むASEAN10カ国のうち、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシアの4カ国が参加しています。

 ASEANのスリン前事務局長は最近、「TPPは(今年末に発足する)ASEAN共同体への努力を弱め、この(TPPという)極めて政治的な変動はASEAN共同体に暗い影を落とすだろう」と警告しました。

 チュラロンコン大学のティチナン教授も同様の見方です。バンコク・ポスト紙に掲載された「TPPの分断性」と題する寄稿で、「米国と中国という超大国間の対抗関係が悪化し、地域の安定を損なう」と指摘。さらに「TPPによってASEANは分断されるだろう」「ASEANの一体性とASEAN共同体へ向かう推進力を弱めるだろう」と懸念を示しました。

 元商業相で国連貿易開発会議(UNCTAD)前事務局長のスパチャイ氏は、「米国中心の貿易秩序であるTPPは時代に逆行するものだ。アジアの発展途上国にとってはRCEPの方が望ましい」と述べています。


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