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2015年10月26日(月)

戦争法のもとでわが子が狙われている

自衛隊が家庭訪問で勧誘

対象者リスト 市から入手 北海道

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 安倍自公政権の憲法破壊の戦争法強行と軌を一にするかのように自衛隊の高校生への入隊勧誘が強まっています。真っ先に海外に派兵されることになるといわれる北海道では、「殺し殺される当事者にはなりたくない」と反発する声が高まっています。(名越正治)


写真

(写真)高校生に自衛隊入隊説明会や入隊試験の助言をしている地域事務所=北海道小樽市

 「とんでもないことになりました」。こう語るのは旭川市に住む吉田愛子さん(53)=仮名=です。日がとっぷりと暮れた夏の夜、夕食の支度をしていたとき、自宅のチャイムが鳴ったといいます。

 男性は「自衛隊の広報」を名乗りました。ドアを開けると、夜の訪問に悪びれた様子もなく、「自衛隊に入隊する人を募集していて、このあたりを回っているんです」。隣近所を指さし、「こちらに18歳から26歳のお子さんはいませんか」と聞きました。

 どきっとする愛子さん。2人の子どもが対象の年齢だったからです。2カ月前には、「自衛官募集」のダイレクトメールが送られてきました。「いますが、就職先は内定しています」と答えるのが精いっぱいでした。

 「自衛隊が本当に回ったのか」と近所の人に尋ねると、来ていません。「市から情報を入手したのでは」。愛子さんは2日後、市役所に問い合わせました。職員は、自衛隊からの要請で、18歳から26歳の「適齢者」の住所、氏名、性別、生年月日(4情報)のリストを出し、自衛隊が閲覧して書き写していると語りました。

 息子の同級生の母親に聞くと、やはり自衛隊は来ていました。

 道南の街では、中学校3年生がいる家庭も訪問していました。

 「もし親がいない時間帯に訪問され、本人が対応していたら…。戦争法によって正直ここまできている」と愛子さん。「戦争に行かせるために子どもを産んだのではない。心底怒りに震えました」

“戦地赴く危ない世”

進まぬ募集 相次ぐ除隊希望

 自衛隊のなりふり構わぬ勧誘の背景には、戦争に対する高校生の関心が高まり、“自衛隊離れ”があります。

 「自衛官志願2割減 安保関連法影響か」の見出しで、「北海道新聞」(14日付)が報じました。多くの高校生が受験する「一般曹候補生」の志願者が、道内で前年に比べて2189人、15%減と2007年以降で最少になりました。「減少は、安倍晋三内閣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定した昨年7月以降、加速している」と指摘しています。

「脱走隊員」も

 募集がすすまない一方で、除隊を申し出る青年隊員が相次ぎ、駐屯地から「脱走」する隊員も出ています。

 「脱走隊員が出た」という道央の街で聞いてみました。自衛隊関係者の目が気になるのか、多くの人は「知らない」とそっけない返事。そんななか、身内に隊員がいるという年配の女性が口を開きました。「これまでとは違う。戦地に送られて自分の命が危ないんだから、逃げるか、覚悟して腹をくくるか。口止めされた家族もゆるくない(大変だ)」

道議会で追及

 戦争法強行直後の9月下旬、道央の高校を卒業して入隊した20代の青年が、担任だった教師を訪れ、明るい声で報告しました。

 「先生がいっていた通り、日本の平和と安全を守る自衛隊が海外の戦闘地域に赴くという、危ない世の中になってきました。僕は、人殺しの仲間に加わりたくない。だから自衛隊を辞めました」

 反撃が始まっています。北海道議会では、9月16日、日本共産党の菊地葉子道議が質問し、自衛隊の家庭訪問が求人ルールに違反するのではないかと追及しました。教育長は、自衛官募集が「学校の協力のもとで、生徒や保護者から要望のあった場合に行われることもある」とのべ、新規学卒者の求人活動の秩序維持がはかられるよう自衛隊に協力を求めると答弁しました。


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