2015年10月25日(日)
介護報酬大幅マイナス改定
小規模デイサービス3割が「撤退」「縮小」
大阪社会保障推進協議会(大阪社保協)が、府内約1800の通所介護(デイサービス)事業所へのアンケート調査を行いました。とりわけ小規模通所介護の事業所が大幅減収により、存続の危機にあることが明らかになりました。
大阪社保協 アンケート調査
介護保険改悪問題の焦点、通所介護の実態把握を目的に7〜8月に実施。592事業所が回答しました。
小規模ほど悪く
その結果、安倍政権による4月からの大幅な介護報酬マイナス改定のもと、7割以上の事業所で収入が減り平均減収率は11・7%に上りました。10〜19%の減収事業所は約半数に。事業所の約2割を占める、利用定員10人以下の小規模事業所では85%が収入減と答えるなど、マイナス改定の影響がより大きいことが分かりました。
こうした状況から今後の事業展開について、事業所の4%が「事業からの撤退」を、17%が「整理・縮小」を志向。うち、利用定員10人以下の事業所でみると「撤退」9・9%、「整理・縮小」19%で計3割近くです。
大阪社保協は、これまで増加を続けてきた通所介護事業所が一転して「減少」局面に入ることを危惧します。
調査では、介護保険制度の改定で要支援1・2のデイサービス利用者は2017年4月までに全国一律の保険給付(予防通所介護)から、市町村事業(新総合事業)へ移行する問題についても聞きました。回答事業所の利用者のうち2割が要支援1・2の人たちです。
移行に伴い、報酬は各市町村の裁量によって決められることから、7割の事業所が、「報酬が下がると経営困難になる」、53%が「利用者の生活に支障が出る」ことを心配しています。
同社保協の寺内順子事務局長は、「在宅の要介護・要支援の高齢者が日々通い、交流し、リハビリや多様なレクリエーション活動など豊かな『介護文化』をつくってきたのがデイサービスだ」と指摘。「介護報酬の引き下げに加え、今後、市町村がデイに対し大幅に報酬が低いサービス導入を進めるなら、多くの事業者が撤退しかねない」と警鐘を鳴らします。
早急見直し提言
同社保協は、調査を踏まえて、提言「地域の大切な社会資源・デイサービスを守り発展させるために」を発表しました。
提言は▽国は次期改定を待たず、早急に通所介護の介護報酬を見直す▽大阪府は緊急に通所介護事業の実態調査を行い、事業が維持発展し、利用者サービスが向上する報酬が確保されるよう国に働きかける▽府および各市町村は、新総合事業移行にあたって、現行の通所介護の利用を保障する―など。
単価引き下げにどう立ち向かう
大阪で学習会
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大阪社保協は23日、「介護保険新総合事業に地域でどうたちむかうか」をテーマに学習会を開きました。約170人が参加しました。
介護保険改悪によって、要支援1、2の訪問介護と通所介護は、2017年4月までにすべての市町村で保険給付が廃止され、市町村事業(新総合事業)に移行します。新事業では現行相当サービスのほか、人員・施設の基準緩和型や住民主体型など安上がりなサービスがつくられます。
同社保協・介護保険対策委員の日下部雅喜氏が、先行して新事業に取り組んでいる自治体の例をあげ、基準緩和型では保険給付の7、8割に単価が引き下げられていると報告。ヒアリングして自治体の意向や実施状況をつかみ、現行相当サービス中心の新事業にするよう求めていこうとのべました。
寺内事務局長が大阪府内の通所介護事業所を対象としたアンケート調査結果を報告しました。