2015年10月25日(日)
新味ない“新党”
デタラメ「橋下・維新」 政治ダブル選で終止符を
「維新の党は日本に百害あって一利なしだ。(『臨時党大会』で)解散した上で31日にもう一度(新党をつくり)再出発していきたい」。橋下徹大阪市長は23日夜、自らが率いる地域政党「大阪維新の会」の全体会議でこう宣言しました。
維新の党を離党した橋下氏が、同党から「除名」された議員らに大阪で開かせたのが24日の「維新の党・臨時党大会」です。維新の党執行部が「無効だ」と認めていない「党の解散」が議決されるという不可解極まりない光景です。
政党助成金が振り込まれる党の通帳の取り合いにまでなった混乱や泥仕合の背景にあるのはなんだったのか。はっきりしているのは橋下氏の国政における政治的影響力の低下と尽きない野心です。
今年5月、大阪市をつぶす「大阪都」構想が住民投票で市民からノーを突きつけられ、橋下氏は約束通り、市長任期終了後の「政界引退」を表明しました。
ところが、橋下氏の政治的野心はとどまることを知らず、戦争法案が焦点となる中で安倍晋三首相と会談。維新の党全体を補完勢力とすることを目指しました。
この動きは、空前の規模で広がった法案反対のたたかいの中で失敗。さらに、政党助成金を分け合う「分党」にも失敗しました。党の通帳の引き渡し拒否で橋下派への批判が高まる中、橋下氏は政党助成金“返納”を言い始め、自らに従う議員だけで「維新の党の解散」を宣言するしかなくなったのです。
こうした失敗の先に旗揚げするという国政新党「おおさか維新の会」とは何なのか。顔ぶれと理念に何の新鮮味もありません。
中心人物の松井一郎・大阪府知事は「安倍政権とは価値観が合う」(「日経」1日付)と憲法改悪などでの協力を宣言。「政界引退」のはずの橋下氏も新党の「法律顧問」として政策にも深く関わる姿勢をみせ、24日の民放番組で「僕は“一度”引退する」、「また税金の無駄遣いが見えてきたら『待ってくれ』と言うかも」と復帰を示唆しています。
11月22日投票の大阪府知事・市長選挙で“橋下維新”が掲げるのは、暮らし破壊の偽りの「改革」や、あれだけ「住民投票は一回限り」と豪語していた「都」構想です。一度否定されたデタラメな構想やウソでしか復帰できない指導者にすがるしかない「新党」にこれ以上、大阪府民の未来と日本の国政をかく乱させるわけにはいきません。
いまこそ、大阪府民の手で橋下維新に終止符を打つときです。(藤原直)