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2015年10月24日(土)

TPP基準 多国籍企業に有利

貿易・投資 主権侵害の恐れも

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 政府は22日、環太平洋連携協定(TPP)の「大筋合意」に盛り込まれた貿易・投資などに関する共通基準の概要を改めて明らかにしました。TPPは前文のほか30章で構成され、関税・貿易だけでなく、国境を超えた経済活動に関する幅広い基準を定めます。多国籍企業の要求に沿い、外資規制の緩和・撤廃を求める一方、進出先の国の主権を侵害しかねない内容を含みます。ただ、成文化がまだ完了しておらず、不明な部分も残っています。

 投資の章は、進出先の国の政策・制度変更などで損害を受けたとする外国企業がその国の政府を相手取って損害賠償などの訴訟を起こせる投資家対国家紛争解決(ISDS)条項を含みます。国家主権が侵害されるとの批判が強く、日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)では見送られた条項です。

 政府調達の章は、国際的な公開入札などを規定。世界貿易機関(WTO)の政府調達協定(GPA)を締結していないマレーシア、ベトナム、ブルネイにも国際入札を義務付けます。

 原産地規則では、関税削減・撤廃の対象となる製品の生産地を定めるルールを規定。原則として企業が自らTPP域内産を示す原産地証明書を作成する必要があります。これを活用するには、中小企業にとって事務負担が重くなります。

 知的財産の章は、商標、特許、著作権などを規定。新薬のデータ保護期間を実質8年とします。製薬大企業の利益が保護される一方、安価な後発医薬品(ジェネリック)の市販が遅れ、途上国の政府や患者の負担が増す懸念があります。

 市場開放に関し、食料の輸出制限を原則6カ月間に限定するなどの規定が設けられています。日本のように食料自給率の低い輸入国の「食料安全保障」が強化されるという触れ込みですが、輸入国側の自給率向上の取り組みが軽視され、輸出国側でも輸出が強要されて、食料主権が脅かされかねません。

 最終規定は、発効条件などを規定。全署名国が批准の完了を通告して60日後に発効します。2年たっても全署名国の通告がそろわない場合、署名国合計の国内総生産(GDP)の85%以上を占める、6カ国以上の通告が必要です。85%以上には、日本と米国が含まれる必要があります。

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