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2015年10月24日(土)

主張

伊方原発再稼働

避難体制なき強行 無謀の極み

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 愛媛県にある四国電力伊方原発3号機が再稼働の動きを強めています。原子力規制委員会の審査で「適合」と認められ、地元の愛媛県や伊方町の同意が進んでいるといいますが、背景にあるのは安倍晋三政権が電力業界いいなりに再稼働を推進していることです。東京電力福島第1原発の事故を受け、今年夏まで2年近く全国で「稼働ゼロ」となっていたのに、九州電力川内原発1、2号機に続き伊方原発が再稼働すれば、原発の運転が一気に進むことになります。原発事故も収束しないのに再稼働を推進する「ドミノ」は、被災者はもちろん国民の意思に反します。

周辺自治体や住民は批判

 伊方原発の再稼働は、林幹雄経済産業相が21日、愛媛県を訪れて3号機を視察するとともに中村時広知事や山下和彦伊方町長と会談、山下町長は翌22日中村知事に会って再稼働に同意する考えを伝えており、後は中村知事の判断を待つだけといわれています。四国電力は愛媛県と伊方町の同意が得られれば再稼働に踏み切るとしていますが、伊方町以外の周辺自治体や住民・県民からも再稼働への懸念が相次いでおり、強行は安倍政権の再稼働推進政策を背景にした異常な暴走そのものです。

 愛媛県の西の端、佐田岬半島の付け根付近に位置する伊方原発は、すぐ近くを日本有数の活断層である中央構造線断層帯が走り、巨大地震の震源となる南海トラフも近く、日本で地震の危険が高い原発の一つです。原子力規制委の審査は、大地震の危険性を過小に評価していると批判されています。だいたい規制委の審査はこれまでの地震や津波の想定をわずかに引き上げただけで、審査に合格したから「安全」というものではありません。その上、四国電力自身が経産省に報告したこの冬の電力需給見通しでも、伊方原発を再稼働させなくても電力は1割近くの余裕があるというのに、再稼働を急ぐ根拠はありません。

 伊方原発再稼働の大問題は、万一事故が起きた場合の避難体制が確立していないことです。伊方原発は事故の際、即座に避難が求められる半径5キロ以内に約5000人が暮らすほか、その先の狭い半島部にも約5000人が暮らします。狭い半島から多くの住民が避難するのは困難なうえに、万一原発が放射能漏れなどの事故を起こせば、半島の先に暮らす人たちは退路が断たれます。愛媛県などの計画では、半島部の住民は海路で対岸の大分県に避難することになっていますが、津波などが起きた場合それが可能か、避難体制をめぐり問題は山積しています。

 原子力規制委の審査は住民の避難を審査の対象にしていません。国の原子力防災会議は今月初め、愛媛県などの計画を「具体的かつ合理的」と認めましたが、避難訓練さえ11月にやっと行うありさまです。避難の保証はありません。

担保にならぬ首相の発言

 愛媛県や伊方町は、安倍首相が原子力防災会議で「万一の場合は政府が責任をもって対処する」と発言したことを再稼働に同意する根拠にしていますが、原発事故の場合、首相が本部長になり政府の対策本部が対処するのは現行法でも当たり前です。安倍首相の発言は何の担保にもなりません。

 避難体制がなく住民の安全が守れない再稼働は断念すべきです。


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