2015年10月23日(金)
橋下「維新」政治の異質な危険
終止符打つのは府民的大義
大阪ダブル選
大阪府知事・大阪市長ダブル選(11月22日投票)の焦点は、地方自治の土台を壊す橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」の危険で異質な政治に終止符を打つかどうかです。そのために「政治的立場を超えて共同することは、府民的大義に立つもの」(「明るい民主大阪府政をつくる会」アピール)です。
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ジャーナリストの吉富有治さんはWebコラムで、国政では安保関連法案などで与党と激しく対立する日本共産党が、大阪ダブル選挙では、自民党推薦候補を支援することについて「『ねじれ』でも矛盾でもなく、むしろ地方においては十分ありえることだと思っている」と書いています。
吉富氏はこのなかで「国政と地方議会が扱うテーマは異なっている」とのべ、「大阪市が廃止されかねない事態を目の前にして、共通の思いを持つ政党が普段の政策や立場の違いを超えて共に自衛措置を起こすことを原理的に示した一つの事例」だとしています。
立場を超えた共同で、橋下「維新」政治を退場させなければいけない異質な危険とは何か。
危険その1 大阪市がつぶされる
「『大阪都』構想の議論を続けさせてほしい」。「大阪維新の会」の松井一郎知事、吉村洋文大阪市長予定候補は大阪市廃止・解体構想にこだわり続けています。これに「反大阪維新」の立場から無所属で出馬する栗原貴子知事予定候補、柳本顕(あきら)市長予定候補は「不毛な混乱・対立を振り出しに戻そうとしている維新の政治を、終わらせなければなりません」(栗原氏)、「大阪市が残る前提で大阪全体、関西全域の繁栄を導き出そう」(柳本氏)と真っ向から対決しています。
「大阪都」構想とは、大阪市も24区もなくして五つの特別区に分割し、権限も財源も「都(府)」に吸い上げ、「1人の指揮官(知事)」の下でやりたい放題の体制をつくろうというものです。「何度もやるものではない。1回限り」(橋下氏)と強引に実施した5月17日の住民投票で反対多数・否決となり、橋下氏は「政界引退」表明に追い込まれました。
ところが、「大阪維新」はダブル選で「大阪都」構想への再挑戦を掲げました。「湾岸区という名称が評判良くなかった」など「バージョンアップ」の中身は区割りや名前の変更ばかり。大阪市を廃止・解体することに変わりはありません。
危険その2 暮らしがつぶされる
「身を切る改革」が「大阪維新」の売り物ですが、切ってきたのは市民サービスです。
高齢者住宅改造助成を廃止、特養ホーム建設補助を1床あたり371万円から270万円に削減、大阪府済生会千里病院千里救命救急センターと大阪赤十字病院救命救急センターへの補助を廃止―など、「大阪維新」府政7年で府民の命や暮らしに関わる予算が1551億円も削減されました。
橋下氏は、柳本氏が打ちだした「敬老パスの改善(乗車ごとの50円負担廃止)」の公約にかみつき、お年寄りの負担を強いる「大阪維新」の「敬老パス改革」を誇る始末です。
その一方で、「大阪維新」は税金を自らの野望のために使い、税金の不正使用も相次ぎ起こしています。
「大阪都」構想の事務局である大都市局には府市で職員計100人が集められ、6月までにかかった関連経費は「大阪府と大阪市で総額31億7852万円と判明」(「朝日」9月29日付)。住民投票で否決されても、また「都」構想を持ち出し、さらなる出費をすることは「必要経費」では済まされません。
「大阪維新」の地方議員の政務活動費の不正使用も「高級自動車のローンに支出」「架空のチラシの配布に支出」など目に余ります。
危険その3 民主主義がつぶされる
「選挙で勝ったらなんでもできる」と独裁的な手法で対立と混乱を招いてきたのが、橋下「維新」政治です。
橋下「維新」政治は、教育の場に異常な競争と強制を持ち込みました。首長が教育に介入する「教育基本条例」を強行し、独自の学力テストを実施し内申点に反映させる方針です。公立高校の学区制を撤廃し、大阪の子どもたちを異常な競争に駆り立て、ストレス、「荒れ」をもたらしています。
「国旗・国歌」強制条例を強行し、「君が代」斉唱をしているか、校長による教職員の“口元チェック”が問題になりました。この校長は橋下氏の友人で、橋下知事時代に民間人校長として府立高校に着任し、松井知事が府教育長に登用。パワハラ問題で、辞任に追い込まれました。
大阪市が市職員に対して行った「思想調査アンケート」は、大阪地裁で違憲だと断罪されました。
自由と民主主義を取り戻す課題は切実です。
新たな扉開く
ダブル選挙で「維新」政治に終止符を打つことは「府民の声で動く府政への新たな扉を開くものになる」とともに、「橋下『維新』をまきこみ改憲をねらう安倍政権の策動を打ち破るなど、国の政治の流れを変える大きな一翼となる」(「明るい民主大阪府政をつくる会」のアピール)でしょう。
13年9月の堺市長選以降、8市で「反維新」の市長が誕生し、国民健康保険料の大幅引き下げ、子ども医療費の助成の抜本的拡充、少人数学級の拡充、公立病院を守り充実させる施策などが進んでいます。
安倍暴走を補完 橋下「維新」
橋下氏は、集団的自衛権の行使について「安倍さんは、どれだけ批判があっても実行する」(「産経」15日付)と安保法制(戦争法)の強行成立などの“実行力”を絶賛。松井氏は「安倍政権とは価値観が合う」「憲法改正を進めるのは協力できる」(「日経」1日付)とあけすけに安倍暴走政治の「補完」ぶりを示しています。
橋下「維新」政治を終わらせることは、別動隊としての橋下「維新」の役割に期待する安倍政権への打撃ともなります。